古豪再興だ!

 7日に行われた静岡県高校総体の剣道男子団体で、榛原が13年ぶり9回目の優勝を果たした。榛南地区1番の進学校として「文武両道」を追求。同校OBで自らも全国総体経験者の柳沢義浩顧問(44)の指導の下、平日の最長でも2時間という短時間集中型の猛練習が実り、圧倒的強さで名門復活を果たした。20日から三重・津市で開催される東海総体では、1972年(昭47)以来37年ぶりの優勝と8月3日開幕(大阪・舞洲アリーナ)の全国総体でのベスト8進出を目指している。

 県高校剣道界の頂点に、懐かしい名前が帰ってきた。牧之原市にある榛原は、今年の県総体を圧倒的強さで制した。各校5人で戦う団体戦では、中部大会から大将の塚本祥弘(3年)まで決着が持ち込まれた試合はゼロ。全10試合に出場した6人が敗れたのは、全員1回ずつという抜群?

 の連係で優勝を遂げた。「チームワークならどこにも負けません。この勢いで東海も全国も勝ち上がっていきたい」と榛葉達也主将(3年)の鼻息は荒い。

 1902年(明35)の創部から、107年もの歴史を誇る。もともと剣道が盛んな土地柄で80年代までは全国大会の常連だった。だが、平成に入ると受験戦争の激化や強豪校の分散化などで成績は低迷。今回と同じく13年ぶりに優勝した96年を最後に、男女とも団体では東海総体出場さえ果たせずにいた。そんな悪循環を変えたのが、今年で母校に赴任6年目、顧問就任4年目の柳沢顧問だった。

 学校方針の文武両道を目指し、練習時間を最長でも約2時間に制限。「気を抜かず集中し、自分たちで課題を持って取り組めば、必ず結果は出る」と励ましてきた。朝の小テストが不合格なら、たとえレギュラーでもその日の練習には参加させない。遠方から通学する選手は全員、19時10分が最終のスクールバスで帰宅する。筑波大志望の榛葉主将ら3年生は、全員難関大学進学を目指す、今や剣道部は全校注目の「武闘派秀才軍団」にのし上がった。

 7日の県制覇の瞬間は「不覚にも涙が止まりませんでしたね。こいつらは本当に強くなった」と柳沢顧問は教え子たちを褒めちぎる。東海総体まであと1週間。そしていよいよ7週間後には、悲願の全国総体がやってくる。「先頭の僕が攻めまくり、先手必勝の形に持ち込みたい」と先鋒(せんぽう)の黒田祐太(3年)が力強く言い切った。「この先では必ず『大将戦』が来る。静岡県の代表として絶対に負けたくない」と大将の塚本。地域住民や在校生、そして歴代のOBの夢も一緒に背負って、榛高剣士たちが戦いの舞台に向かう。【大石健司】