女子バスケットボールの名門シャンソン化粧品の相沢優子新ヘッドコーチ(HC=36)が5日、静岡市の同社本社で就任会見を行い、昨年6月に結婚していたことを明かした。現役引退といきなりのHC就任要請に悩んでいた時、夫の小島一能(くによし)さん(31=会社員)が背中を押してくれたという。小島さんは仙台市在住で別居生活中だが、覚悟を決めて、昨季6位に低迷した名門復活に全力を注ぐ。

 相沢HCの言葉が、突然詰まった。就任会見でHCの要請に「不安の方が大きくて、受けるのをためらった」としながら、受諾までの真相を明かし始めた。「その話で、どうしても話しておかないといけないことがあります。実は昨年、結婚していまして、今年は(実家の仙台へ)帰るつもりでいたんです」。そう言うと、目から涙がこぼれた。

 98年にシャンソンを一時退団し、指導者を目指して入学した東北学院大時代に小島さんと知り合った。昨年6月1日に結婚し、引退後は「まず仙台に帰って、おだやかな生活を」と思っていた。だが、日本リーグ昇格以来初めて6位に沈んだ最終戦翌日の2月8日にHCの要請を受けた。「(指導する)選手の1年を考えると失敗が怖い」と、指導者にはなりたかったが、自信はなかった。そんなとき、小島さんに「何年たったら自信がつくんだ?」と質問された。「自信なんて、何年やってもつくものじゃない。自分の夢をかなえるために頑張ってみるべきだと思いました」。背中を押してくれた“愛情”を思い出すと涙がこぼれた。

 現役のシーズン中は「疲れるから」と1度も会いに行かず、小島さんが静岡にやってきた。今後も静岡と仙台での別居生活になる。引退後に挙式の予定だったが、それも未定となった。「静岡に来ることも考えると言ってくれたので(HCを)決めたけど、いまだに来る気配はないです」と笑わせ「あの場所が、彼に合っていると思う。私もそれでいいかと。ただ、式だけはどこかで強行突破します」。ウエディングドレスのHCをより美しくメーキャップしたい。名門シャンソンにどうしても勝ちたい理由が増えた。【今村健人】