<女子テニス:東レ・パンパシフィック・オープン>◇4日目◇29日◇東京・有明コロシアム◇シングルス3回戦ほか

 世界67位のクルム伊達公子(40=エステティックTBC)が、今年の全仏女王で同8位フランチェスカ・スキアボーネ(30=イタリア)に3-6、3-6で完敗し、準々決勝進出を逃した。68年オープン化(プロ解禁)以降、ツアーで40歳代の選手の1大会2勝は、元男子で性別適合手術を受けた46歳のレニー・リチャーズ(米国)とクルム伊達の2人だけだったが、惜しくも最年長1大会3勝はならなかった。森田あゆみ(20)と組んだダブルス1回戦でもストレートで敗れ、日本勢はすべて姿を消した。

 クルム伊達の快進撃がついに止まった。全仏女王に1時間24分でストレート負け。ダブルスも敗れ終戦となった。「疲れた!

 ダブルスもやると、さすがに40歳の体になる」。1回戦でフルセットの末にシャラポワを下し、ハンチュコバが途中棄権した2回戦も3セットを戦った。3日連続でコートに立った40歳の体力は回復していなかった。

 ただ、すべては出し切った。サーブやリターンでネットにダッシュ。スピンやスライスも駆使した。「できる限りのベストは尽くした」。第1セット序盤に2-0にできるポイントが3本連続であった。それを逃したのも響いた。

 この試合に1大会3勝の史上最年長記録がかかっていた。もっとも46歳で2勝を挙げたリチャーズはもともと男性で、性別適合手術を受けて女性になったのは41歳の時。そこから女子ツアーに参戦した。記録は更新できなかったが、クルム伊達の強さは際だっていた。

 今大会の2勝で世界ランクを再び50位前後に戻す。もちろん、トップ100では最年長だ。「自分でもあり得ないことをしていると思う」。驚異の40歳が1大会3勝を超える日も決して遠くはない。【吉松忠弘】