フィギュア女子で昨季世界ジュニア女王の村上佳菜子(15=中京大中京高)が心強い援軍を得て、グランプリシリーズ(GP)初参戦となるNHK杯(22~24日、名古屋)に挑む。17日、愛知県中京大アイスアリーナで練習を公開。高額な活動費を要する競技で、デビュー前の村上はすでに主要スポンサー7社という破格の支援を獲得した。NHK杯では世界女王の浅田真央との対決も控えるが、相手は意識せず、スケールの大きな演技を目指す。

 シニア実績のまだない村上が約30人の報道陣に囲まれた。GPデビューとなるNHK杯の直前会見。胸に化粧品会社の「メナード」地元電機メーカーの「ブラザー工業」のロゴが入ったジャージーを着て登場した。「地元での大会で応援してくれればテンションが上がる。表彰台に乗れればいいけど、たぶん無理(笑い)。自分の演技ができれば」と屈託なく話した。

 背後のスポンサーボードには計7社が名を連ねた。世界ジュニア女王で「真央2世」といわれる期待の選手とはいえ、破格の扱いだ。コーチ代や遠征費などトップ選手だと年間経費は約2000万円といわれる。中京大関係者は「寄付という形も含めば20~30社の支援をいただいた。中には大ファンの主婦の方から援助もあった」と明かした。浅田は同じ15歳時にすでにCMに出演しているが、村上への企業の期待も大きい。

 村上は謙虚だったが、NHK杯で表彰台に乗れる可能性は十分にある。世界女王の浅田は本調子ではなく、他の実力者はコストナー(イタリア)フラット(米国)ぐらい。村上も蓄膿(ちくのう)症を抱え、体調は万全ではない。だがこの日の公開練習はショートプログラム、フリーともに通しで披露し、ジャンプの失敗もあったが安定した演技を見せた。

 伊藤みどり、浅田を指導してきた山田満知子コーチは「みどりは気の強い子。真央はまじめでいい子。佳菜子もいい子だけど、ゆとりや遊びがある」と評す。「スケールの大きい演技をしたい」という村上がNHK杯で世界へ羽ばたく。【広重竜太郎】