<カーリング:日本選手権>◇最終日◇13日◇北海道名寄市・北海道立サンピラー交流館◇決勝トーナメント

 女子は決勝で昨季3位の中部電力が6連覇を目指したチーム青森を6-4で下し、創部2季目で初優勝した。3-3の同点で迎えた第8エンドでサードの市川美余(21)がラインを読み、スキップの藤沢五月(19)がショットを決め3点を奪った。男子はチーム常呂が連覇を達成した。優勝チームは今秋11月開催のパシフィック選手権(中国)に出場する。

 ニューヒロインが誕生した。中部電力が、前日に本橋麻里(NTTラーニングシステムズ)率いるロコ・ソラーレを下した勢いそのままに、決勝でも5連覇中の女王チームをのみ込んだ。群雄割拠の女子カーリング界に新星のごとく現れた21歳の市川は「実感がない。優勝したんですね」と、ちゃめっ気たっぷりに首をかしげた。その実力も美貌もマリリンに負けてなかった。

 勝負どころは同点で迎えた第8エンドだった。ハウスの中央に位置するチーム青森のストーンを、スキップの藤沢、サードの市川がラインを読み切った。藤沢が投じた2投目は、相手ストーンをはじき出し、逆に3点を奪うスーパーショットとなった。サードの市川は「祈るような思いだった」と、笑顔がはじけた。

 所属会社は、五輪出場を目指し、09年にカーリング部を立ち上げた。市川ら4人は会社からの全面バックアップを受け、平日は営業所で働き、夜に練習拠点の長野・軽井沢でほぼ毎日練習に励む。10月には1カ月間のカナダ遠征などを経験し、力をつけてきた。

 98年長野五輪を見て母と一緒に競技を始めた市川は、日本代表となり目標の五輪に1歩近づいた。「責任がある」と愛くるしい顔に力がこもった。【松末守司】