<レスリング:全日本選抜選手権>◇初日◇29日◇東京・代々木第2体育館

 全日本選抜レスリング選手権が29日、東京・代々木第2体育館で開幕した。男子グレコローマン66キロ級で、元総合格闘家で拓大監督の須藤元気氏(33)の愛弟子、岡本佑士(22=拓大クラブ)が初優勝し、同監督の教え子として初めての世界選手権(9月、トルコ)出場となった。男子フリー60キロ級では、北京五輪銅メダルの湯元健一(26=綜合警備保障)が日体大時代以来、6年ぶり2度目の優勝。この日、男子9階級で世界選手権出場が決まった。

 岡本が師匠譲りの「変幻自在のトリックスター」ぶりを発揮した。第1ピリオド(P)。攻撃権を得た終盤に豪快なリフトから2度、井上智裕(兵庫・育英高教)を回転させた。第2Pは逆に巧みなディフェンスで1ポイントを守り切り、2-0で勝利を収めた。勝利の瞬間、須藤監督は派手なガッツポーズ。08年11月の拓大監督就任以来、指導した選手が初めて世界舞台に立つ。

 淡々と喜びを語る岡本の隣で、須藤監督は「あのリフトはすごい!

 世界でも必ず金メダル取りますよ」と興奮した。昨年度は主将として拓大の3冠に貢献し、5月から警視庁入り。同監督は「『拓大』としての最後を飾ってくれた」と愛弟子を抱き締めた。