<ラグビー:関東大学リーグ・流通経大24-17東海大>◇27日◇東京・秩父宮ラグビー場

 流通経大がロスタイムの決勝トライで初優勝を果たした。5連覇を狙う東海大と対戦。後半36分に同点にされながらも同40分過ぎにFB小沢大(4年)がトライして劇的勝利。東海大と勝ち点25で並び、直接対決で上回って創部47年目、リーグ戦加盟27年目にして初めて頂点に立った。3月11日の東日本大震災で練習環境も整わない中、精神力でハンディを乗り越えた。

 電光掲示板の表示は、40分を超えていた。後半36分に追いつかれて17-17。引き分けなら流通経大の優勝はない。相手ペナルティーで得たチャンスからWTBジョセファが左サイドを突破する。パスを受けたFB小沢は「(トライへの)線が見えた」。インゴールに走り込むと右手を高々と掲げながらトライ。自らゴールを決めた直後、新たな歴史を刻む笛が鳴り響いた。

 「今年は勝利にこだわってきた」と、フッカー鹿田主将は言う。3・11の震災で大学のある茨城・龍ケ崎市も被害に遭った。ライフラインが止まり、始動直後のラグビー部は活動停止、学生は自宅に帰った。鹿田ら合宿所に残った選手はボランティア活動に汗を流した。飲料水運び、支援物資の仕分け、片付け…。「ラグビーの前に、やることがあった」と鹿田。再集合は1カ月後の4月だった。

 「みんな目の色が違っていた」と内山監督は振り返る。練習の遅れ、練習環境の悪化、何よりも被災した人たちへの思い。4年生からは通常よりも密度の濃い練習を要求された。走る量は例年の2倍以上だったが「選手が自覚を持って苦しい練習に耐えた」と内山監督。7月まではグラウンドが使えず、サッカー場で間借り練習。「学生が本当に頑張った。本当に、うれしすぎて…」。胴上げされて言葉を詰まらせた。

 大学から強化部に指定されたのが89年、91年に就任した上野監督(現CEO)は「チームよりクラブ作りを考えた」という。付属の流通経大柏を含めた組織作りをし、積極的に地域との交流もした。05年に引き継いだ内山監督は全国の高校を回った。「1カ月で家にいるのは3日」。情熱を傾けて選手を勧誘した。21年間の努力が花開いた。

 今季のチーム目標は関東リーグ優勝と大学選手権4強以上で国立競技場のピッチに立つこと。「RKU(流通経大)のラグビーを、多くの人に見てもらいたい」。震災を乗り越え47年目の悲願を達成した鹿田主将は胸を張って言った。【荻島弘一】

 ◆流通経済大学ラグビー部

 1965年(昭40)大学設立とともに創部し、翌66年に北関東リーグ加盟。89年に学内強化指定部となり、91年に日体大ヘッドコーチだった上野裕一氏(現CEO)が監督就任。92年に全国地区対抗大会初出場初優勝を果たす。関東リーグは3部C(5部相当)から勝ち上がり、96年に2部優勝で1部昇格。97年には全国大学選手権に初出場した。05年から内山達二監督が指揮を執る。部員数139人。