<バドミントン:全日本総合選手権>◇最終日◇11日◇東京・代々木第2体育館

 女子シングルスで16歳8カ月の奥原希望(のぞみ=埼玉・大宮東高2年)が、不戦勝ながら男女通じて史上最年少優勝となった。4連覇を狙った広瀬栄理子(パナソニック)が急性胃炎で棄権。1989年に宮原愛子(熊本女子高)が記録した18歳4カ月を更新した。

 まさかの展開で奥原に優勝が転がり込んだ。試合開始前、コートに広瀬の姿はなかった。急性胃炎による棄権。表彰式で身長154センチの女子高校生は、大きな優勝カップを手渡されると、遠慮ぎみに笑顔をつくった。「複雑な心境。実感はないですけど、素直にうれしい」。65回目の大会で新たな歴史が誕生した。

 才能は折り紙付きだ。今秋の世界ジュニア選手権で銅メダル。抜群の運動量で粘り強くシャトルを拾う。今大会は右ひざの痛みとも闘いながら日本代表選手を打ち破り、来年のA代表昇格も決定。世界ランクで争うロンドン五輪出場の可能性はないが、次回のリオデジャネイロ五輪では表彰台が狙える。憧れの先輩・潮田玲子からは直々にサインを考案してもらった。報道陣にそのサインを公開した奥原は「粘るだけでなく、いろんなプレースタイルを身に付けたい」と笑った。【佐藤隆志】