全豪オープンテニスで、日本男子として80年ぶりの8強入りを果たした錦織圭(22)とスポンサー契約をしているユニクロが、錦織の活躍を受けてスポーツウエア分野への進出の検討に入ることが23日、分かった。昨年1月に錦織と5年契約を結んだ後、錦織に独自開発のテニスウエアを提供。1984年(昭59)の創業以来、格安のカジュアルウエアにこだわってきたが、同社ロゴを付けた錦織のウエアが国内外で注目され、消費者からの要望もあることから、商品化の検討を始めるという。

 錦織が、国内アパレル業界1位の最大手を動かした。ユニクロの広報担当は、全豪8強入りの錦織の快挙を受け、テニスウエアの商品化を検討することを明かした。「錦織選手が大会に参加する度に、多い時で1日に10件以上、テニスウエアの商品化を希望するお客様の電話をいただいています。商品化を検討課題として、考えなきゃいけない時期に来たと思います」。創業以来、格安カジュアルウエアの大量販売で国内外に販路を拡大してきたが、スポーツウエアへの初進出も現実味を帯びてきた。

 世界の頂点を目指すという共通目標を持つことで、同社は錦織とスポンサー契約。5年という異例の長期契約で、4大大会優勝か、世界ランキング1位で数億円ボーナスという条項を盛り込んだ。ロゴマークをウエアに付けるだけでなく、独自開発も担当。動きやすさや軽量化、汗の吸いやすさと速乾性などを改良してきた。今月から錦織が着用のシャツは、重さが28グラム減の127グラムになった。

 この取り組みと、錦織の好成績が相乗効果を生み、ユニクロにテニスウエアの商品化を求める声が広がった。広報担当は「錦織選手が帰国する度にお会いして、ウエアの着心地を教えていただいてます。カジュアルウエアを売る店というポリシーは今後も変わりませんが、テニスウエアの技術をフィードバックして、スポーツにも適応する商品を作っていきたいと思います」と話した。

 錦織は昨秋から、新商品「ウルトラライトダウン」のテレビCMに出演。このダウンジャケットを着てサーブを放ち、軽さをアピールしていた。サッカー日本代表FW本田圭佑とのCM契約は昨年限りで終了したため、今後は錦織がCMに登場する機会が増えそうだ。広報担当は「スポーツ選手で現在のユニクロのCMに出ているのは、錦織選手だけ。今年の春夏商品向けに、新たなCMを考えたいですね」と、ポスト本田を任せる意向を語った。【柴田寛人】

 ◆テニス選手とファッションブランド

 ワニのイラストで知られるファッションブランド「ラコステ」は、テニス選手だったフランス人ルネ・ラコステが1933年に創業。粘り強いプレースタイルからワニを採用したという。英国人の「テニスの神様」といわれたフレッド・ペリーは、月桂(げっけい)冠のロゴで知られる同名のファッションブランドを52年に創設した。現役選手では、女子のビーナス・ウィリアムズ(米国)がセルフブランド「EleVen」を持つ。