<男子テニス:コパ・クラロ>◇20日(日本時間21日)◇ブエノスアイレス

 日本男子80年ぶりに全豪8強入りした世界17位の錦織圭(22=フリー)が、新たなスタートを勝利で飾った。03年全仏覇者で元世界1位のフアンカルロス・フェレーロ(32=スペイン)に7-5、3-6、6-2のフルセットで勝ち、全豪以来のツアー個人戦を、貴重な勝利で再スタートを切った。2回戦では、同93位のハネスク(ルーマニア)と対戦する。

 全豪以来の個人戦。再スタートには、大きな勝利だった。波のある試合運びも、今季初めて赤土で試合をすることを考えれば、勝利に結び付けたことが大きい。「最初は硬かったが、勝てて本当にうれしい」。最後は、フェレーロのフォアがラインを割り、決着がついた。

 難敵だった。現在は47位に世界ランクを落としているが、03年世界1位で、今大会と同じ赤土で行われる全仏の覇者だ。10年に左膝と右手首を手術したが、昨年の赤土のドイツの大会で見事に復活優勝を果たした。そのフェレーロにストロークで堂々と渡り合い、見事に打ち負かした。

 全豪直後に帰国し、国別対抗戦デ杯で代表としてプレーした。その後、契約するユニクロや新たに契約したタグ・ホイヤーの記者発表を終え、米国を経由して南米入り。今年わずか1カ月半で、すでに2万5000キロ以上を移動している。それこそが、世界ツアーを舞台とするトップ選手の証明だ。

 過去数年、この時期は、米国の室内大会に出場した。しかし、相性が悪く「気分も変えてみたかった」。コーチからの薦めもあって、新しく南米2大会の出場を決めた。「タフな試合だったけど、偉大な選手に勝って自信になった」。路線変更は、この日に限れば大成功だ。

 今週も、世界17位と、日本男子最高位を更新した。しかし、この位置まで来ると、序盤は勝って当たり前。今後は、これまでのように、そう簡単に世界ランクは上昇しない。それでも、日本男子史上初のツアー2勝目に向けて、新たな1歩を踏み出した。