<フェンシング:ロンドン五輪アジア・オセアニア最終予選>◇初日◇20日◇和歌山ビッグウエーブ

 女子エペで昨年の全日本女王の中野希望(のぞみ、25=大垣共立銀行)が1位となり、初の五輪代表に決まった。世界ランク72位と出場選手中最上位で予選プールは免除。初戦の決勝トーナメント準々決勝から3連勝した。キルギス選手との決勝も15-6と圧倒。1位だけが得られる出場権を、危なげなく獲得し「緊張して、試合展開も覚えてないくらい。最後は手が震えていた」。18日の和歌山入り直前に第一人者の太田雄貴からもらった「迷ったら突きに行け」とのアドバイスも効いた。

 中学時代は父芳樹さん(57)の指導の下で剣道に明け暮れた。高校進学の際に転向を打ち明けたが、父は猛反対。「高校で日本一になれ」と約束し、竹刀を剣に握り替えた。そして福井・武生商時代にはインターハイや国体など、5度頂点に。芳樹さんは「エペとサーブルは剣道に近い。娘は小さい時から対人感覚を養ってきた。だから危険を察知したり相手との距離を測るのがうまい」。173センチで体格は大柄な欧州勢にも対抗できるが、現在増量中。「細いと力が伝わらないから」。3食以外にプロテイン摂取などで、2キロ増の58キロにして今大会に臨んだ。

 ◆中野希望(なかの・のぞみ)1986年(昭61)7月3日、福井・武生市(現越前市)生まれ。武生商1年で競技開始。日体大を経て現在は大垣共立銀行所属。09年6月のW杯キューバ大会、ユニバーシアードで銅メダル獲得。10年広州アジア大会で銀メダル獲得。全日本選手権は07、11年と優勝。173センチ、58キロ。