【秦皇島(中国)16日=阿部健吾】まだ戦い足りない-。アマチュアボクシングのミドル級日本代表で、お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のしずちゃんこと山崎静代(33=よしもとクリエイティブ・エージェンシー)が現役続行に前向きな姿勢をみせた。前日15日に女子世界選手権3回戦でドイツ人選手に敗れ、今大会でのロンドン五輪出場が絶望的になっていた。一方、今大会後に決まる大陸別推薦枠を得るために必要な申請を、日本が行っていなかったことも分かった。

 中国の青空の下、山崎の本心が口をついた。

 山崎

 まだ自分のなかで戦いが終わってない気がする…。強い人とやってみたい気持ちがある。

 ぼうぜんとリング上で立ち尽くした前夜。3回戦で世界ランク26位のシュトローマイヤーに3度目のダウンを喫した1回1分56秒で、審判が試合を止めるRSC(レフェリーストップコンテスト)負け。五輪へ本格的に競技を始めて3年の戦いが、あっけなく終わった。「目標が断たれて抜け殻みたいになった」。

 前夜は関係者とたわいない話で談笑。睡眠も取れて一夜明けると、気持ちが戦いを求めていた。「割と吹っ切れるのが早いので」。早速この日も中国選手とスパーリング。「向こうがやりましょうと言ってきて」と笑顔もみられた。

 一方でこの日、大陸ごとの推薦枠を得るために必要な申請を、日本側がしていなかったことが判明した。同資格はAIBA(国際ボクシング連盟)が今大会後に第三者委員会で検討するもので、今後の発展に寄与する国で、どの階級にも代表選手がいない国を優先して選手を選ぶ。

 国際連盟の文書によると、推薦枠を希望する国・地域は国内オリンピック委員会を通じて1月16日までに国際オリンピック委員会に申請する必要があった。しかし日本連盟はこのことを知らず、日本オリンピック委員会も申請しなかった。

 山崎は五輪出場の可能性の可否にかかわらず、現役続行を示唆した。「大会などの目標はまだないです」と話し、帰国は20日、23日にはお笑いの舞台に立つ。従来通り芸人と競技者を掛け持ち、己を磨いていく。