<テニス:ブリスベーン国際>◇4日◇オーストラリア・ブリスベーン

 世界19位で第5シードの錦織圭(23=日清食品)が、日本男子史上2人目の単複同時4強入りを果たした。昨年準優勝で同18位のドルゴポロフ(24)に6-4、7-6でストレート勝ち。前日のダブルスとともに、自身初のツアー大会単複同時ベスト4入りとなった。過去の日本男子の単複4強入りは、74年フィリピン選手権で九鬼潤が記録した1度だけ。今日5日、決勝進出をかけ、ロンドン五輪金メダルで世界3位のマリー(英国)と対戦する。

 年頭から錦織の快進撃が止まらない。この日も、ツアーで次世代のスターを争うドルゴポロフに競りながらもストレート勝ち。「今大会で最高の試合だった。攻撃的にいけた」と、最後のマッチポイントではこん身のスマッシュをたたき込んだ。

 第2セットの途中で、ハプニングが錦織を襲った。第5ゲーム、相手のサーブで15-0。ラケットを替えにベンチに戻った。それがポイント間は25秒以内という規則に触れ、遅延行為として警告を受けた。30-0となった時にもラケットを変更。ここで2度目の警告を受け、ポイントを失った。「乱れかけた」と言うが、しっかり立て直した。

 今季開幕戦でシングルス3試合、ダブルス2試合の計5試合を戦い、1度も負けていない。セットを落としたのも、ダブルス1回戦の第2セットだけと破竹の快進撃だ。「今年は最高のステップが切れている」。14日に始まる全豪に向けても、最高の準備が整いつつある。

 昨年11月下旬から2週間、2年連続でシカゴを訪れ、今季に向け、ハードな体づくりを行った。陸上ハンマー投げの室伏広治らを鍛えるロバート・オオハシ氏の下で、「トップ10に入るためにはケガをしない体が大事」と、徹底的に体幹などを鍛えた。

 錦織がツアー大会で単複出場するのは珍しい。4大大会を含めても、過去16大会しかない。通常、体力の消耗を避けるためシングルスだけの出場に絞るが、今大会は単複でベスト4進出。「体が強くなり、細かいところで成果が出ている」と、体力に自信がついてきた証拠だ。

 70年に現行のツアー制度が始まって以来、日本男子が単複同時にベスト4に進んだのは、74年フィリピン選手権の九鬼潤ただ1人だ。世界46位にまでなった松岡修造でさえ成し遂げられなかったタフな記録だ。

 今日5日はシングルス、ダブルスともに準決勝を迎える。シングルスの相手は2戦全敗のマリー。昨年の全豪準々決勝でも対戦し、ストレートで敗れた。「もっと攻撃的に行きたい。今年はトップ10に入りたいから」。マリー撃破で、トップ10の夢に近づく。

 ◆錦織のシングルスとダブルス

 過去シングルスはツアー本戦に71大会出場。そのうち同時にダブルスも出たのは16大会だ。ダブルスの過去最高成績は6度のベスト8だった。昨年の全豪では、シングルスとクルム伊達の混合ダブルスという珍しい組み合わせで出場した。ツアー下部大会では、07年米国フューチャーズで、シングルス準優勝、ダブルス優勝と単複で決勝に進出している。