新プログラムで打倒羽生!

 フィギュアスケートの4大陸選手権は、あす8日に大阪市中央体育館で開幕する。6日の公式練習で、2年ぶり3度目の優勝を狙う高橋大輔(26=関大大学院)がショートプログラム(SP)を今大会からベートーベン作曲「月光」に変え、約5年ぶりにニコライ・モロゾフ・コーチの振り付けで滑ることを明かした。今季1勝2敗の羽生結弦(18)への対抗心もみせ、「(3月の)世界選手権に向けて、2勝2敗にしておきたい」と必勝を期した。

 地元大阪のリンクに、クラシックの名曲が響いた。伸びやかに、情緒的に銀盤で舞う。「すごく有名な曲ですし、久々にクラシックですが、音楽を聴いて自然に滑っている感じ。今まで以上に伸び伸びやるプログラムです」と高橋。今季ここまで4試合滑ったSPは「ロックンロールメドレー」。180度ジャンルも違う、テンポも違う、ジャンプなどの構成も違う。シーズン途中の大胆な判断だった。

 提案者は今季4季ぶりにコーチ陣に加わったモロゾフ氏。高橋自身も「ショーで滑ると入り込めるのに、試合でうまくいかない」と昨年から感じていたところに、助言があった。長光、本田も含めたコーチ3人の意見も一致し、1月2日から新演目に着手。同氏の振り付けは、ヒップホップ調「白鳥の湖」などの08-09年シーズン以来となる。

 公式会見では「初披露なので、結果よりも内容を」と1度は話したが、隣席の羽生との対決に話題が移ると、自然と“結果”も頭に。「いま1勝2敗。世界選手権で『さあ、どうなる?』となるために、勝っておきたいですね。その方が楽しんでもらえる」とニヤリ。有力選手がおらずに一騎打ちの様相に堂々と宣戦布告し、羽生を苦笑させた。

 今日7日で五輪開幕まで1年になる。「現役はソチまでと決めている。早く来てほしい。でも、あと1年じゃ足りない。いろいろな感じです。1日1日が無駄がないようなスケート人生を送りたい」と心境を明かす。3度目の五輪へ、後輩の存在、新プログラムも原動力に、その人生の終幕を飾る。【阿部健吾】

 ◆「月光」

 ベートーベン作曲のピアノソナタ第14番で、全32曲のなかでも「3大ピアノソナタ」と称される。1801年の30歳の時の作品で、14歳下の恋人ジュリエッタにささげた曲とされる。高橋の使用する曲は、ロシアの国際的ピアニストのエフゲニー・キーシンの演奏。