3季ぶりの復帰を目指す元世界女王の安藤美姫(25)が複雑な胸中を明かした。28日、新横浜スケートセンターで行われた「ドリーム・オン・アイス

 2013」にゲスト出演。7月からの13-14年シーズンで引退を決めているが、希望する出場試合などで、日本スケート連盟の意向と合致しない事態にあると吐露した。過去の実績による「特別待遇」は行わない方針を取っており、思い描く青写真とズレがあるようだ。

 安藤が現状を訴えた。置かれた状況、気持ちを包み隠さずに発言した。「国際スケート連盟(ISU)の回答と、日本連盟の回答が違って、自分は日本連盟の意向に従わないといけない。少し残念ではあります」。ラストシーズンだからこそ、思いが言葉になった。

 昨年10月に始まったGP(グランプリ)シリーズ。出場のサインをしながら、コーチ不在を理由に欠場した。故障以外の場合は罰則があることは承知だったが、ISUのチンクワンタ会長宛ての手紙を書き、「良いアンサーをもらった」。昨年12月まではISU公認大会に出場停止だったが、それ以上の罰はなかった。だが、「日本連盟からは6月までアイスショーも出てはいけない」と伝えられたという。

 さらに来季GPシリーズ(今年10月スタート)も、「出場資格は持っていたが、日本連盟の判断がISUと違った」と説明した。過去10季で表彰台に上がった選手はISUとしては出場可能だが、判断は各国の連盟。日本は強化指定でなければ派遣しない方針を取り、安藤は昨秋に辞退していたため、出場はかなわなかった。

 連盟の伊東フィギュア委員長は、強化指定は「2年間実績がなく、特別扱いはできない」とし、「6月までショーも出てはだめと、私は言っていない。強化部に確認したい」と話した。

 ソチ五輪出場には、12月の全日本選手権での表彰台が条件。同大会までにISUの技術最低点の獲得も必要だが、現状ではISU公認大会に日本代表として参加できない。「最低点を取れる場(試合)を作ってもらいたい」と訴えた。

 今後は、全日本の予選の関東選手権(10月)を目指す。そこで結果を残して強化指定に入り、GP以外のISU公認大会で最低点を取ることが、現実的な道筋となる。この日のショーでは3回転サルコーに挑戦。7月には米国合宿も行うなど、復帰への歩みは進める。「前向きにやるしかない」と自分に言い聞かせるように話した。【阿部健吾】