バスケットボールの国内プロリーグ(Pリーグ)設立を巡る対立に解決の糸口が見えない。日本協会は4日に都内で開いた理事会で、現在2つあるトップリーグが参加し、16年開始を目指すPリーグについて協議。bjリーグからの要望書に一部応じない回答をすることで決議した。国際連盟は10月末までに一元化できない場合、資格停止処分も検討している。新リーグを巡る互いの主導権争いが続けば、選手への影響も生じかねない。

 進まない協議の象徴だった。理事会の開始前、傍聴希望で会場にいたbjリーグの阿部達也専務取締役が退場を求められた。Pリーグに関する議題もあり、立ち会いを要望。前日に協会側から電話で断られ、その上での直訴だったが、日本協会の堀井幹也理事は「規定で認められていない。特例は作れない」。強引な相手に対する規則に従った対応ではあったが、“門前払い”の格好となった。

 協会は2月に、16年に設立を目指した「Pリーグならびにリーグ構造検討プロジェクト答申」を発表。2つのトップリーグ、NBLとbjに参加を呼び掛けてきた。だが、bjは答申の制作過程などに納得できず、協会との話し合いは平行線をたどっていた。

 この日までに、bjは(1)答申の撤回(2)NBLとの対等な扱い(3)議会のできる限りの公開、以上3項目の要望書を提出。(2)、(3)はこの日の理事会で了承されたが、(1)は受け入れられなかった。協会は「16年にPリーグを設立する」方針にこだわり、堀井理事は「もし白紙撤回になれば、bjは『18年でもいいじゃないですか』と言ってくるかもしれない」と警戒した。

 長い分裂状態を問題視する国際連盟は4月、解決期限を10月末に設定。過ぎれば、資格停止処分、20年東京五輪の開催国枠の消滅までも示唆しており、代表活動にも影響しかねない。協会は、日本トップリーグ連携機構が打ち出した同機構の川淵三郎副会長による仲裁を受け入れる方針も固めたが、先行きは不明確だ。

 理事会後に回答の説明を受けたbjの阿部専務取締役は、「対等に扱ってもらえない」と不満を隠さなかった。21日の理事会での再検討を要望するが、話し合いが進まない現状だけが明確になった。【阿部健吾】

 ◆日本バスケットボールのトップリーグ

 現在、国内にはNBLとbjの2つのリーグがある。普及や強化面を不安視した国際連盟(FIBA)は08年から改善を要求。日本バスケットボールリーグ(JBL)とbjの統合を目指したNBLが13年に創設されたが、bjからの参加は千葉のみ。その後もFIBAによる要求は続き、日本協会は2月、16年に創設を目指すPリーグ構想を発表した。