フィギュアスケート女子で、今季休養中の浅田真央(23=中京大)が20日、座長を務めるアイスショー「ザ・アイス」の長野公演に出演し、20年ぶりのショートヘア姿で登場した。報道陣の前に現れるのは約2カ月ぶりだったが、様変わりした姿を披露した。来季以降の進退は変わらず検討しているが、今夏以降はフィギュア以外の分野とも交流する方針。髪形だけでなく、心の面でも「変化」を求め、人生の進む道を探す。

 両ほおの横に、フワリと黒髪がカールしていた。きっちりと後ろで髪を結んだポニーテールの浅田は、そこにはいなかった。「楽かな。気分転換もありますし、スケートをやるときは必ず結ばないといけないので、切るなら今季と」と理由を話すと、少し顔を赤らめた。先週、思い切って20センチも髪を切った。肩にかかるくらいのボブスタイルは「3歳の時以来」。5歳でフィギュアを始めてからは初のショートヘアだった。

 いましかできないことを-。5月下旬に今季の休養を宣言してから、髪形以外でもそんな思いを持っている。この2カ月間でテレビのリポーターや、ラジオでは10代のリスナーの悩み相談に乗る先生役もこなした。フィギュア漬けだった毎日から少し離れ、今後は他分野のことにも触れていくつもりだ。関係者は「いままでは決まった数人としか話さないで1日が終わることもあった。これからはいろいろ違う人にも会ってほしい」と話す。スケート教室なども含め、人間の幅を広げる機会を作っていく。

 折しも、この日のアイスショーでは「七変化」でファンを沸かせた。「光」をテーマにし、ゴスペル曲「The

 Little

 Light

 Of

 Mine」で滑る新エキシビションから、大ヒット映画「アナと雪の女王」の世界を姉舞さんと表現した演目、11年3月の地震で被災した長野県栄村の小中学生らと公演後に交流した時のTシャツ姿まで。多様な姿でファンの目を楽しませた。

 今後は滑り以外でも「変化」を求める日々になる。小塚崇彦ら同世代で現役を続ける選手と共演し、「揺れ動きますね。みんなは(今季も)やるのに、私はやらない。今季のあと、自分は何しているのかなと思います」とほほ笑んだが、焦りはない。復帰するか、引退するか。その答えはまだ先になりそう。いまは、さまざまなことを楽しみ、挑戦し、変わっていく自分を感じていく。【阿部健吾】<浅田のフィギュア以外のチャレンジ>

 ◆農業

 12年のオフに山梨県内で野菜の苗を植える体験。トラクターなどにも乗り、畑を「MAI、MAOファーム」と命名。収穫した野菜で料理なども作った。

 ◆舞妓

 13年3月の世界選手権エキシビション後に「京都で舞妓(まいこ)さんをやってみたい!」と熱望。その後は多忙で実現していない。

 ◆リポーター

 今月のTBS系「世界ふしぎ発見」でミステリーハンターに。フィギュアの歴史などをたどり、欧州3カ国を巡った。

 ◆先生

 今月にTOKYO

 FMで放送中の10代向け番組「SCHOOL

 OF

 LOCK!」にゲストで登場。「真央先生」として悩み相談に乗り、夢を持つことの大切さなどを伝えた。

 ◆スキューバダイビング

 中京大の授業の一環で、今夏に免許を取る予定。