男子テニスの錦織圭(24=日清食品)が、凱旋(がいせん)試合でタフガイぶりを見せつける。全米オープン準優勝後、初の国内大会となる楽天ジャパン・オープンが29日、有明コロシアムで開幕。28日にマレーシア・オープンで優勝した錦織は、早朝に帰国して午後には練習コートに登場した。大会では10月5日のシングルス決勝まで進めば、今日30日のダブルス1回戦から6連戦。世界ランクで自己最高位の7位に上がった第4シードの錦織は強行軍を乗り切り、初のツアー2連勝に挑む。

 東南アジアの地で優勝トロフィーを掲げてから約19時間後、錦織は東京・有明のコートにボールを弾ませていた。初秋にしては強い日差しが降り注ぐコートで、ダブルスでコンビを組む内山らと約1時間半にわたり汗を流した。

 28日午後6時(日本時間同7時)すぎに今季ツアー3勝目を挙げたマレーシア・オープン決勝を終えると、その足で空港へ。5000キロ以上の空路を移動し、この日午前6時すぎに日本に到着し、ホテルを経由して正午には会場の有明コロシアムに姿をみせた。午後2時には練習コートへ。大会運営側によると、前日の決勝後すぐに練習時間を予約したという。

 その姿に色めき立ったのはファンだった。予想外の登場に次々に人が押しかけた。幾重の人垣で、あっという間に約300人に。「かっこいい」などの黄色い声に交じり、「超人だ」と強行軍に驚く人もいた。

 入場券は準々決勝以降が行われる10月3日から3日間は指定席、自由席ともすでに完売。錦織のシングルス1回戦が組まれた1日は、この日だけで自由席約300枚が売れた。通常は1日20~30枚で、10倍以上を記録するなど、フィーバーは過熱していきそうだ。

 日程は厳しい。当初はシングルス1回戦は今日30日の予定だった。マレーシアでの優勝で日程が変更され、ダブルス1回戦からシングルス決勝までは6日間の連戦に。全米で対戦した世界ランク4位のワウリンカ、同8位のラオニッチら強豪がそろう大会で、さらにタフさが求められる。

 フィーバーが最高潮に達するのは、2週連続で優勝トロフィーを掲げるとき。年間獲得ポイント上位8人が進めるATPツアー・ファイナル(11月・ロンドン)の順位では、進出圏内の6位につける。強行軍を乗り切った先に、その資格も待っている。

 ◆錦織のジャパンオープン成績

 ▽07年

 1回戦敗退▽08年

 3回戦敗退▽09年

 欠場▽10年

 1回戦敗退▽11年

 1回戦敗退▽12年

 優勝▽13年

 準々決勝敗退