日本水泳連盟は30日、都内で臨時理事会を開き、仁川アジア大会の水泳会場でカメラを盗んで略式起訴された競泳男子の冨田尚弥(25)について、16年3月31日まで選手登録停止とする処分を決定した。反省文の提出と一定期間の社会貢献活動を課すことも決めた。

 当初は永久追放も検討していたが、韓国メディアの被害者が「選手生命を奪わないでほしい」と要請。16年リオデジャネイロ五輪前までの登録停止に、処分は軽減された。冨田本人からの不服申し立てはなく、泉専務理事は「処分を認識した」と理解した。

 一方でこの日、冨田の代理人弁護士は、来月6日に名古屋市内で弁明会見を開くことを発表した。冨田は「盗み行為はしていない」と主張。連盟関係者によると、現地で略式起訴された後から周囲に無実を訴えていたという。盗んだカメラについては「バッグに入れられた」と話し、この日は「もらった」と聞いたと証言した人まで出てきた。

 冨田の担当の鈴木亮弁護士は「現地で罪を認めざるを得なかった理由もある。潔白だからこそ、会見を開く」と名誉回復を図る考えを示した。だが、1度は罪を認め、罰金100万ウォン(約10万円)を納付したことも事実で、連盟に対しては処分の不服申し立てもしていない。地元警察も捜査には自信を持っている。連盟関係者は「なぜ最初から主張しなかったのかとの疑問は残る。再審請求をして司法の場で決着をつけるしかない」と話す。国際問題に発展しかねない波乱含みの展開になってきた。