札幌市の上田文雄市長(66)は27日、札幌市議会で2026年冬季五輪、パラリンピックの開催都市に正式に立候補することを表明した。ここまで経済界、議会などから招致を望む声が多く上がっていた。さらに、札幌市が10月に市民を対象に行った招致アンケートでも賛成多数だったことから民意を得られたとして決断した。実現すれば、72年以来2度目の開催で、経済波及効果は道内だけで7737億円が見込まれる一大事業となる。

 札幌の、日本の、大きな夢が動きだした。上田市長は市議会の冒頭、「五輪開催の夢に向けて進もうとする札幌市民の機運は醸成されたものとして、まさに機は熟したと判断し、招致を行うべきとの結論に至った」と述べ、26年冬季五輪、パラリンピックの開催都市に正式に名乗りを上げることを伝えた。実現すれば72年に続く2度目となる五輪は、経済波及効果が全体で1兆497億円。道内だけでも7737億円とみられ、未来を大きく左右するまさに「夢の祭典」になる。

 札幌市は昨年9月、14年度予算案に五輪招致の調査費を計上し、五輪招致を本格的にスタートさせた。今年9月に五輪開催の試算を公表し、経費は4045億円で、うち市の負担が715億円と算出した。今月上旬の市議会では、招致が議決され、12日には札幌商工会議所からも招致の要望書が出されるなど、立候補の機運はどんどん高まった。

 最後は民意が決断の後押しをした。10月6日から20日までに市民1万人を対象にしたアンケートを実施。今月17日に集計結果が発表され、66・7%が「賛成」、「どちらかといえば賛成」と回答。「反対」「どちらかといえば反対」の20・6%を大きく上回った。上田市長は「市民から招致を望むとの意見をいただいた。多くの市民が夢を共有し、大きな目標に向かって市民力を結集させるための、この上ない機会であると信じている」と話した。

 経済波及効果では、約6万1000人の雇用が誘発され、約377万人の観光客が訪れると見込まれる。北海道新幹線の札幌延伸の早期実現も加速すると予想され、人口減少に伴う新たな街づくりも急速に進められることで、世界に「新生サッポロ」を発信できる絶好の機会となる。

 26年大会は、日本オリンピック委員会(JOC)が16年までに国内候補地を絞り込み、17年に国際オリンピック委員会(IOC)に申請。19年に開催都市が決まることになる。

 ただし、招致実現には高い壁が立ちはだかる。冬季五輪開催地は18年は平昌(韓国)で決定しており、来年7月に決まる22年は、アルマトイ(カザフスタン)北京(中国)のアジア2都市が争う。これまで大陸間で順番に開催してきた慣例からも、3大会連続でアジアで開催される可能性は低いとみられている。

 今後、市は招致に向けた開催計画の策定などの活動に入る。市民の負担額がさらに膨らむことも予想されるなど課題は多いが、招致実現へ向かう。