大相撲の嘉風(37)は、出身地・大分の開催都市特別サポーターを務めている。小学生時代からラグビーと触れ合い、今では本場所と巡業の合間を縫って試合観戦をするほどのラグビー好き。力士との共通点や、あふれるラグビー愛を語った。

      ◇       ◇

大分の開催都市特別サポーターの嘉風です。昨年6月に大分で行われた、日本対イタリアの一戦はしびれましたね。巡業がなかったので、観戦することができました。やっぱり生の迫力は最高ですね。この興奮をもっとたくさんの人に知ってもらいたいです。

小学生の時の遠足で、ラグビー好きの先生と広場でラグビーをして遊んだのが記憶に残っています。その後は機会がありませんでしたが、大学の体育の授業でラグビーを専攻しました。授業の日に限って雨が多く、視聴覚室で資料映像をよく見ていました。一番印象に残っているのは、元イングランド代表SOのジョニー・ウィルキンソンです。とにかくキックがすごすぎて、くぎ付けになりました。それ以降、さらにラグビーが好きになりました。

昨年6月に大分で行われたラグビー国際親善試合日本-イタリア戦を前に部屋でPRした嘉風
昨年6月に大分で行われたラグビー国際親善試合日本-イタリア戦を前に部屋でPRした嘉風

ラグビーで一番好きなシーンは、試合終了のホーンが鳴ってからの攻防です。負けているチームが、1トライ1ゴールでも逆転できないのに、必死でトライを奪いにいくシーンに心を打たれます。逆転、同点なら必死になるのは分かる。そうじゃないのにガムシャラに頑張るって、並大抵のメンタルじゃないとできないですよ。本当に魅力のあるスポーツ。生まれ変わったら、ラグビーをやりたいと本当に思っています。

ラグビー選手と力士って似てますね。体をぶつけるという意味で。ラグビー選手がよく「相撲部屋に稽古に行きたい」という話を聞きますが、逆ですよ。相撲取りこそラグビーの練習が必要かもしれません。例えばBKの1対1での仕掛けや抜き方とかは、体の使い方とか体の流れ、気の流れとかを養えそう。後ろに下がりながら止めないといけないディフェンスは、立ち合いで受け止めた後に後ろに下がりながらも押し返す動作に役立ちそうです。ラグビーから学べることがたくさんあると思います。

大分で行われる1次リーグでは、ニュージーランドやオーストラリアの試合、さらに準々決勝2試合も観戦することができます。日本でワールドカップ(W杯)が見られるなんて、本当に一生に1度の出来事だと思います。もっともっと、盛り上がっていきましょう。ぜひ、会場に足を運んで最高潮の興奮を味わって下さい。

◆嘉風雅継(よしかぜ・まさつぐ)本名・大西雅継。1982年(昭57)3月19日、大分県佐伯市生まれ。日体大3年の02年にアマチュア横綱となったが、04年初場所で前相撲から初土俵を踏んだ。05年名古屋場所で新十両、06年初場所で新入幕。14年夏場所で新小結、16年初場所で新関脇。最高位は関脇。