ラグビー日本代表の強化合宿が15日、宮崎市内で始まり、初日から強度の高い2部練習をこなした。世界ランク1位のニュージーランド、同4位イングランドと対戦する11月のテストマッチに向け、今秋から選手の練習中の心拍数をリアルタイムで把握する新型のGPS(衛星利用測位システム)機器を導入。走り勝つラグビーをさらに磨き、強豪との戦いに備えていく。

19年ワールドカップ(W杯)日本大会開幕まで1年を切った中で迎えた合宿は、初日からエンジン全開だった。2部練習の午後は、試合中の疲れた状態を想定し、コンタクトとフィットネスを織り交ぜた約1時間ぶっ続けのメニューで体を追い込んだ。緊張感に包まれた内容に、ジョセフ・ヘッドコーチは「練習への姿勢は100%」と満足顔。「さらに強度を上げ、強い精神力を鍛え上げていきたい」と力を込めた。

目指すラグビーを体現するための“新兵器”も取り入れた。今秋から練習中の走行距離などを測る新型のGPS機器を導入。心拍数を測る装置も新たに採用し、従来は練習後に約3時間かけて集計していた各選手のさまざまなデータをコーチ陣がリアルタイムで把握出来るようになった。「サボれなくなりました…」と選手からは冗談交じりの本音もこぼれたが、FW陣随一の体力を誇るプロップ稲垣は「何が足りていないのかを瞬時に理解できるのは大事なこと」と歓迎した。

6月のイタリア代表とのテストマッチでは、ボールインプレー(プレーが途切れずに続いている状態)の時間が1試合80分のうち約40分まで伸び、日本が目指す運動量を生かした戦いで強豪からの勝利をつかんだ。W杯で史上初の8強を目指す日本にとって「走り勝つ」ことは大きな武器となる。SH田中は「体が小さい日本にとって、そこ(体力面)は絶対に負けられない部分。さらに伸ばしていければ」と強調した。

主力の堀江、松島がけがで今回の合宿には不参加。姫野ら別メニュー調整の選手も少なくないが、チームは最初のターゲットである26日の世界選抜との強化試合に向け、準備を進めていく。日本代表のサボれない合宿が続く。【奥山将志】