11月のテストマッチに向けたラグビー日本代表の強化合宿が16日、宮崎市内で行われ、初キャップを目指すCTB梶村祐介(23=サントリー)が存在をアピールした。高校時代に日本代表合宿に練習生として呼ばれた“大器”も、大学4年間は代表とは無縁。23歳でようやくつかんだチャンスで、19年ワールドカップ(W杯)日本大会への生き残りをアピールする。

試合をイメージした約40分間ぶっ通しの実戦練習で、梶村が輝きを放った。180センチ、93キロの体を、時に強く、時に俊敏に使い、鋭い突破を連発。連日の過酷なメニューに多くの選手が疲労を口にする中、「強度は高いが、充実している。やるべきことを理解して少しでも早くチームにフィットしたい」と充実感をにじませた。

その名が全国に知れたのは高校3年時だった。U-19日本代表での活躍が、当時日本代表を指揮していたエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの目に留まり、練習生として代表合宿に参加。だが、期待された大学時代は壁にぶつかった。

同学年の野口、堀越らに代表デビューでも先を越され、「悔しいより、自分自身で伸びていない実感があった。歯がゆかった」。浮上のきっかけをくれたのは、4年時に明大のヘッドコーチに就任した田中澄憲現監督だった。3年時のプレー映像を見せられながら、「これでは試合に出せない。もっと強みを伸ばしなさい」。厳しい言葉に、迷いが吹っ切れた。

防御への意識が強くなっていたプレーを反省。持ち味の縦への突破を磨き、3年時の関東大学リーグ対抗戦、全国大学選手権で0だったトライ数は、4年時8を記録。再び輝きを取り戻した。今季、サントリーでトップリーグデビューを果たすと、王者チームの中で開幕から出場機会をつかみ、約5年ぶりとなる代表の舞台を勝ち取った。

19年W杯日本大会に向け、ラファエレ、中村らとの激しいポジション争いが待ち受けるが、失う物は何もない。23歳の大器は、「このチャンスを何とかしてものにしたい」と真っ向勝負でアピールを続けていく。【奥山将志】

◆梶村祐介(かじむら・ゆうすけ)1995年(平7)9月13日、兵庫県伊丹市生まれ。ラグビーは4歳から。鴻池小、天王寺川中では伊丹RS。報徳学園高で花園に出場し、明大進学。U-19日本代表。18-19年シーズンにサントリーでトップリーグデビュー。180センチ、93キロ。