【テディントン(英国)15日=峯岸佑樹】遅咲きの苦労人がチャンスをつかんだ。6月に代表初キャップを獲得したラグビー日本代表のフランカー西川征克(31=サントリー)が、17日に行われる世界ランク4位のイングランド代表とのテストマッチで初めて先発入りを果たした。19年ワールドカップ(W杯)日本大会を「ラストチャンス」と捉え、生き残りを懸けた猛アピールを続ける。

31歳のサラリーマン選手が初の先発の座をつかんだ。西川は高さ2メートルの壁に覆われたグラウンドでの非公開練習を終えると、海外メディアも含めた約30人の報道陣に対応した。「こんなに多くのメディアに囲まれたことがない。試合では相手が得意とするフィジカルを確実に止めたい」と緊張した表情で決意を込めた。

6月のジョージア戦に途中出場し、初キャップを獲得。181センチ、95キロとフランカーとしては小柄だが、強い足腰を生かした低いタックルと、相手のボールを奪うジャッカルを武器にピンチを幾度と防ぎ評価を高めた。ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)も「7番(フランカー)のスペシャリストでタフ」と起用の意図を説明。小5の時には、相撲の全国大会8強の実績を誇り「球際に強く、判断が速いのは相撲のおかげ」と話す。

大学までは年代別の日本代表経験はなく、全国的には無名だった。サントリー入社後、2季前に就任した沢木監督に見いだされて、同じポジションで元オーストラリア代表111キャップのジョージ・スミスとプレーしながら腕を磨いた。

世界ランク11位の日本は38点差で完敗した同1位のニュージーランド戦でブレークダウン(密集でのボール争奪戦)が課題となった。イングランド戦でもボール争奪戦が勝負のカギとなり、それを得意とする西川がキーマンとなる。同社では家庭用スーパーを担当する営業マンだが「ラグビーも営業も自分の仕事を全うするだけ。代表に年齢は関係ない。W杯に向けてのラストチャンスだと思っている」と大暴れを誓った。

◆西川征克(にしかわ・まさかつ)1987年(昭62)5月18日、大阪府生まれ。小学時代はわんぱく相撲大阪大会優勝、全国大会ベスト8。中学からラグビーを始め、大阪・東海大仰星高-関学大-サントリー。昨季、サンウルブズに加入。ポジションはフランカー。日本代表キャップは1。趣味は釣り。