ラグビーのトップリーグ(TL)、ヤマハ発動機の清宮克幸監督(51)が監督業引退を宣言した。29日、都内で退任会見を行った。01年の早大監督就任からサントリー、ヤマハ発動機を率い、監督を通算17季務めた。日本ラグビー界を引っ張ってきた名将は、今後ラグビーで得たもので地域に貢献し、また自慢の息子たちの良き父親となる。

名将は晴れやかな表情で会見場に姿を現し、冒頭で「監督としての清宮は今日で最後になります」とあいさつした。率いた3チームを優勝に導いたが「私に(監督を)依頼するチームはないでしょう(笑い)。監督と選手は親子同然で、たくさんの息子たちが出来たので、十分です」と達成感を口にした。

ヤマハを日本選手権初優勝に導いた直後の15年3月、日本記者クラブでの会見で「結果が出なければ、名乗りを上げる」と日本代表監督にも立候補。日本代表は外国人監督が続き、国内随一の手腕を誇る清宮氏就任への期待もあったが「(代表監督就任への気持ちは)もうないです。時は逸した。やるなら19年でした。引退です」と語った。

今後、ヤマハのチームアドバイザーに就き、静岡スタジアムを拠点に設立を発表した、女性と子どもに特化した総合型スポーツクラブ「アザレア・スポーツクラブ」の代表理事を務める。女子7人制ラグビーチームを創設し、監督にはサントリーなどで活躍した元日本代表WTB小野沢氏を据えた。さらに、日本ハム内野手の長男幸太郎(19)や、4月に早実進学予定で甲子園を目指す次男福太郎君の話題になると「もう1つの仕事が福太郎をアスリートにすること。ラグビー選手を育てるのも野球選手を育てるのも一緒。ずっと離れていたので、父親としての責任を果たします」と優しい顔で話した。【大野祥一】

◆清宮克幸(きよみや・かつゆき)1967年(昭42)生まれ。大阪市出身。現役時代のポジションはフランカー、NO8。大阪・茨田高でラグビーを始める。早大2年で日本選手権優勝、4年時は主将として大学選手権優勝。卒業後はサントリーで95年度に日本選手権優勝。01年に早大監督に就任し3度の大学選手権優勝。06年度からサントリーを率い07年度にマイクロソフト杯で優勝。11年度からヤマハ発動機監督を務め、14年度に日本選手権優勝。家族は妻と2男。