トップリーグ選抜の先発プロップ木津悠輔(23=トヨタ自動車)が猛アピールに成功した。

0-14の前半12分にはビデオ判定の末に惜しくもトライとはならなかったが、力強い突破でインゴールまでボールを運ぶ長所を披露。後半20分の交代まで献身的にプレーし「トップリーグ選抜に選んでいただいて、(日本代表の)チャンスがあると思っていた。短い時間で自分を出すことを考えた」と振り返った。

全国的には無名な大分・由布高出身。中学まで打ち込んだ剣道は2段の腕前で、高校時代は楕円(だえん)球を追いながら「消防士になろう」と考えていた。

人生が大きく変わったのは2年時の全国大会(花園)大分県予選。最上級生が涙を流して引退していくのを見て、「あと1年でいいのか?」と寂しさを覚えた。当時の監督に「大学に行きたいです」と伝え、今季の大学選手権で準優勝した奈良の天理大に進んだ。

高校まではNO8だったが、上を目指すためにプロップに転向。大学卒業後にはトヨタ自動車入りを果たし、1歩ずつ道を切り開いてきた。「高校は無名だけれど、天理大、トヨタ自動車と強いチームに入ることができた。入れば足並みは一緒」。この日のプレーを見た男子15人制日本代表の薫田真広強化委員長から「木津はアタックもディフェンスも良かった」と評されるなど、3日から都内で始まる日本代表候補合宿への追加招集に向けても好印象を植え付けた。

日本ラグビー界で「木津」といえば、15年W杯日本代表フッカーの木津武士(30=日野)の印象が強い。大分生まれの23歳は地道なアピールで、ファンに存在感を示していく。