全国高校ラグビー大会で82大会ぶりに出場し、歴史的1勝を挙げ話題となった早実(東京)が全国選抜大会出場という新たな歴史を作った。

相手は神奈川準Vの慶応。大学ラグビーでは伝統とされる「早慶戦」が高校でも実現した。普段練習試合では対戦の経験があるというが、大谷寛監督(41)が就任してからは公式戦では初対決。「勝てば選抜大会、そして早慶戦となれば負けたくないというのがあった」と話した通り、息詰まる熱戦となった。

前半はフッカー立木優成(1年)の2トライなど7点リードで折り返すも後半7分に同点に追いつかれてからは防戦一方だった。慶応のモール攻撃に苦しめられ、自陣でのプレーがほとんどだった。

それでも前日の茗溪学園(茨城)戦同様に相手の攻撃をしのぎ切り、29分に相手の反則を得た。微妙な時間だったが選手はPGを選択。大谷監督は「まだちょっと時間が残っているかなと思ったが、自分たちで決めたなら」と選手の判断に任せた。その後もプレーは続いたが、最後まで集中力を切らさずフィジカル勝負を制して守り抜いた。

花園にも出場したフランカー細川大斗主将(2年)は「守りきれると思ってみんなでPGを選択した。都の予選から守備は試合ごとに良くなってきている」と自信に満ちあふれた表情で語った。

新チームの主将に就任した細川は、先輩たちが成し遂げられなかった「花園で年越し」を目標にスタートした。大谷監督は初出場となったこの大会について「関東の強豪とたくさん試合ができたら」という思いだったが、細川は「必ず選抜大会に行って歴史をつくる」とチームを鼓舞してきた。

準決勝は16日、流通経大柏(千葉)と対戦する。花園の2回戦では53-0で大敗を喫した。大谷監督は「花園での経験が成長につながっている。現段階での最大限の力をぶつけてどこまで通用するか」と意気込みを語る。相良、小泉、今駒など個の技術の高い3年生がいなくなった。細川は「チームの雰囲気はいいので、周りを盛り上げてチーム全員で先輩たちのリベンジをしたい」と力強い。

花園4強の強豪相手だが、接戦を勝ち上がり勢いのある早実に勝つチャンスは十分にある。【松熊洋介】