7月開幕のパシフィック・ネーションズカップに向けたラグビー日本代表42人が3日に都内で発表され、4月に38歳となったロックのトンプソン・ルーク(近鉄)が名を連ねた。

昨年末に現役引退がよぎった自称「おじいちゃん」は、故障者続出で招集されたスーパーラグビーのサンウルブズで猛アピール。日本代表のW杯最年長出場記録更新と史上3人目の4大会連続選出が懸かる、9月開幕のW杯日本大会に近づいた。

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自らの進退に心が揺れた寒い冬から半年。「トンプソン」の名は14番目に、日本代表ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)によって呼ばれた。指揮官は「経験と不屈の精神を評価している。W杯で成功しているチームに一貫しているのは、ベテランが入っていること」。W杯本番をしっかりと見据えながら、期待を込めた。

15年W杯では南アフリカ戦の歴史的勝利に、フル出場で貢献。そんな男は昨年末に「分からない」と現役への思いを明かしていた。6歳の長女がニュージーランドの小学校に入学するため、妻と4歳の長男、2歳の次女が母国へ帰国。ママチャリに乗り、東大阪の街を走るパパにとっても「家族が向こうに行くから…」とひとつの節目だった。

事態が一変したのは今年2月。サンウルブズに故障者が続出し、自称「おじいちゃん」に白羽の矢が立った。屈強な南半球の選手相手のプレーに、ジョセフHCも「素晴らしいプレーをしてくれて、驚いた」。日本代表のけが人が相次ぎ、1試合限定の代表復帰となった17年6月を「アイルランド戦の25本のタックル」と持ち出し「他の選手のいいお手本。彼らしくプレーしてほしい」と強く願う。

先月末にサンウルブズを離脱。ニュージーランドで心身を調整し、今月9日から宮崎合宿に合流する。その先には大野均(東芝)が37歳で樹立した日本代表W杯最年長出場の更新、元木由記雄と松田努に並ぶ4大会連続選出が見える。「日本人のみなさんのためのプレーには、震え上がる」。そう常々語る、トンプソンが帰ってくる。【松本航】