茗渓学園の日本代表候補SH大越勇気主将(3年)の「頭脳プレー」がさえた。

12-0で迎えた県浦和戦の後半7分、自陣で反則を得た大越は自らボールを蹴り、素早いリスタートから敵陣を走り抜けた。味方がすぐには追い付いてこないと判断すると、ステップを踏みながら攻撃体勢が整うまでキープした。そのまま突っ込んでボールを奪われるのを避けるため、視野の広さを生かした状況判断だった。

WTB服部紘汰(2年)のトライに導いた大越は「相手が10メートル下がるので狙っている。普段から自分で行くことは伝えている」と話す。高橋監督は「大越のスピードと技術が抜けている。自分で分かって時間稼ぎをしているのはさすが」と褒めた。

1月の花園では3回戦で敗れ、2年生ながらレギュラーとして出場していた大越は、人目もはばからず号泣した。その悔しさを胸に今季は主将としてプレー以外でもチームを引っ張る。2月の新人戦の関東大会では初戦で早実に敗れ、選抜大会は出場できなかった。「長い時間があるからこそできた」とじっくり走り込むなど基礎から鍛え上げた。春先から体重は2キロ増え、プレーに落ち着きと力強さが出てきた。

前半は作戦通りとはいえ、キック中心のラグビーで苦しんだ。それでも後半は素早い展開から持ち前の走り回るラグビーに切り替え、一気に突き放した。大越は「(決勝も)完封して圧勝したい」と次戦に向け意気込みを語った。