ワールドカップ(W杯)日本大会の開幕に向け、ビール会社の絶対に負けられない戦いが始まる。

ハイネケン(オランダ)のビールを国内で製造するキリンビール(本社・東京都中野区)は15日までに「W杯戦略」を発表した。

大会期間の9~11月の販売目標は前年同期比の7割増、年間で100万ケース(大瓶20本換算)を目指す。ハイネケンは、大会ワールドパートナーとして会場でビールを独占販売する。関係者は「アジア初のW杯を通じて、世界的なビールを若年層を始めとする多くの方に飲んでもらいたい。大きなビジネスチャンスでもあり、品切れは絶対に許されない」と話した。

ラグビーとビールの関係は、切っても切り離せない関係だ。ラグビーは、他のスポーツイベントよりもビールの消費量が多くなる傾向がある。パブ文化が根付く英国発祥のためか、ビールを飲みながら試合観戦する習慣があり、15年イングランド大会ではスタジアム周辺などで計約190万リットルのビールが消費された。同じ会場のサッカー開催時と比べても、平均で「6倍以上の消費量」と言われる。

キリンビールは大会期間中の外国人観光客の増加を見据え、開催都市を中心に供給体制を強化。会場はもちろん、飲食店やコンビニなどでも積極的に売り出す。今月下旬からW杯の機運醸成のため、優勝トロフィーをデザインした瓶や缶を販売。7月23日から数量限定で6缶BOX(応援扇子付き)も発売する。大会が開幕する9月の生産量は、前年同月から8割程度増やす計画という。

さらに、国内唯一の製造拠点の横浜工場ではハイネケンの歴史などを紹介する工場見学を毎月1回開催。新横浜プリンスホテルとコラボし、ラグビーをテーマにしたビアガーデンを展開するなど、多種多様な戦略で2カ月後に迫る本番に向けて準備を進める。