トレーニングの成果が見えた-。前サントリー監督の沢木敬介氏(44)が、フィジーに快勝した日本代表を絶賛した。課題だったラインアウトが良化するなどセットプレーが安定。目標のワールドカップ(W杯)8強に向けて「明るい材料」とした。9月20日の開幕まで2カ月弱、強化は順調に進んでいる。

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大会本番までわずかに迫った中でのフィジー戦だったが、勝つことができ、内容もよかった。何よりもトレーニングしてきたことの成果が、数多く見られたのが素晴らしい。本番に向けて明るい材料といえる。

特によかったのが、セットプレー。ラインアウトは1本ミスしただけで成功率は9割を超えた。昨年6試合の平均を大きく上回ったのは、練習の成果だろう。スクラムも最初に反則をとられたものの、その後は修正して100%。こちらも安定感は抜群だった。

進化が見えたのは、セットプレーを起点に奪ったトライが3つあったこと。前半サインプレーから奪った松島のトライやラインアウトからのモールを押し込んだ姫野のトライも準備通りといえる。セットプレーが安定すれば、そこからの攻撃パターンも増える。セットプレーが計算できれば、試合は優位に運べる。

もう1つ、目立ったのはボール保持率。日本は後半20分まで60%台後半、残り20分はリードされているフィジーが攻めたために落ちたが、ほとんどゲームは支配していたといえる。

フィジーのようなアンストラクチャー(陣形が整わない状態)での攻撃が得意な相手には、ボールを渡さないことが大切。そのためには、ボールをキープし続けることが必要になる。もちろん、相手によって戦い方は変わってくるが、似たスタイルのサモアとのW杯での対戦を考えれば、いい準備ができたといえる。

もちろん、まだ課題はある。タックル成功率は低かったし、後半のチャンスを逃して相手を仕留めきれないと本番は苦しい。ラインアウト-モールに対する守備もこれからだ。ただ、これはトレーニングの優先順位が低かっただけ。本番までには改善するだろう。

セットプレーが安定したことで、試合の入りも良かった。うまく試合に入り、早い時間帯にリードを奪えれば、この日のような快勝にもつながる。本番まで2カ月を切り、テストマッチも3試合を残すだけ。フィジー戦を見る限り、ここまでの準備は順調に来ていると見ていいだろう。