神戸製鋼の日本代表プロップ山下裕史(33)が志願の途中出場を果たした。後半7分に投入されると、会場は大歓声。大粒の汗を流しながら33分間プレーし「2カ月ぶりに試合ができて良かった」と充実感を漂わせた。スーパーラグビー「サンウルブズ」の一員として臨んだ、5月25日レベルズ戦以来の実戦だった。

9月開幕のW杯(ワールドカップ)日本大会に向け、6月からは日本代表宮崎合宿に参加。だが、ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は「山下はW杯を経験した成熟した選手で、セットプレーも非常に強い。今回は不確定な(若手の)2人を試してみたい」とし、パシフィック・ネーションズ杯(PNC)のメンバーから外れている。居残り組は福岡・宗像での合宿を終え、山下は前日3日から神戸製鋼へ合流。ジョセフHCには「神戸で試合をさせてほしい」と直訴したといい、サントリー戦のメンバー入りが実現した。

神戸製鋼のデーブ・ディロンHCは「彼は代表レベルの3番。準決勝は大事な試合だが、神戸にとって大事な選手」と途中起用を決断。山下はPNC2戦をテレビ観戦したといい「(日本代表に)選ばれていないのは仕方がない。しっかりといいプレーをしたい」と冷静な口調で言い切った。

チームは難敵を下し、クボタとの決勝(10日、大阪・花園ラグビー場)進出を決めた。山下が見つめるのは、もちろん頂点だ。

「神戸も優勝のチャンスがある。会社員(社員選手)として、優勝もW杯と同じぐらいの価値がある」

まずは目の前に集中し、愛着あるチームに貢献する。