ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は25日、東北唯一の会場、岩手・釜石鵜住居復興スタジアムでの初戦フィジー-ウルグアイ戦が行われた。会場周辺では多くのボランティアが、国内外から駆けつけた1万4025人のファンを歓迎。警備に当たった警察官もサポーターとの記念撮影に応じるなど、和やかな雰囲気に包まれた。

釜石高3年の女子生徒3人は敷地内にある「あなたも逃げて」と刻まれた祈念碑の前で、語り部としての活動を行った。佐々木千芽さんは英語も使い震災時の状況を説明。「ラグビーを楽しんでもらうとともに、震災の教訓も生かしてもらえたら」。同競技場の“こけら落とし”として行われた昨年8月の試合で、キックオフ宣言を行った洞口留伊さんは「伝えることでより防災への意識を高めてもらいたい」と意義を説明した。

世界の祭典の中にあって、多くのファンが足を止めて3人の訴えを聞き入った。野呂文香さんは「うなずいて聞いてもらってよかった。今後も機会があれば伝承活動をしていきたい」と継続を誓っていた。