強い日本を再び世界へ証明する時がきた。85年の来日からシナリ・ラトゥとして活躍したトンガ出身で元日本代表NO8のラトゥ・ウィリアム志南利氏(54)は「今の日本代表に真の勝利を見せて欲しい」と切に願った。

89年5月28日、東京・秩父宮ラグビー場。スコットランド戦にNO8で出場したラトゥ氏は、主将のCTB平尾誠二、ロック大八木淳史、林敏之らと束になり、好タックルを連発。PGで得点を重ねられたが相手のトライを1に抑え、WTB吉田義人やCTB朽木英次らのトライで28-24と振り切った。

過去40年で11試合行い、日本がスコットランドから唯一、挙げた白星。しかし、同時期に行われていたニュージーランド遠征により主力を欠いていたスコットランドは、この試合をテストマッチとして認定しなかった。日本は対戦成績を1勝10敗としているが、スコットランドの歴史には日本からの黒星は1度もついていない。ラトゥ氏は「主力組がいないのは知っていたが、これほど悔しいことはない」と振り返る。

それから30年がたち、日本代表は世界の強豪国と肩を並べる位置にきた。主将のリーチ・マイケルは、日本が成長できた要因はラトゥ氏らの功績のおかげであると、過去にチームミーティングで話していた。同氏はトンガからのラグビー留学生としても成功を収めた。「僕たちが必死でやったから今のリーチらがいると思う。それをリーチも分かっているはず。だから今の日本代表は、外国人選手が多くてもまとまることができている」と評価する。

互いに8強を懸けて臨む一戦。30年前はテストマッチに認定してもらえず、15年大会では苦汁をなめさせられた。「今の日本代表は外から見ていい雰囲気。期待に応えてくれるはず」。W杯の大舞台で、因縁の相手からの“正真正銘の勝利”を先人たちが待ち望む。【佐々木隆史】