ラグビージャーナリストの村上晃一氏(54)が南アフリカの警戒選手を「村上's ポイント」として5回連載で紹介します。2人目は司令塔であり、得点源でもあるSOハンドレ・ポラード(25)です。

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何でもできる-。それが世界屈指のSOポラードの強みです。プレーメーカーであり、正確なショットで得点源でもある。彼が気持ち良くプレーする展開になれば、南アの強さが最大限に引き出されてしまいます。パス、キックの技術も一流ですが、どうにもならなければ189センチ、98キロの体で強引に前にも出られる。1次リーグのニュージーランド戦ではタックル5回をすべて成功させ、2回のターンオーバーも記録と、防御でも体を張れます。

若い頃からその才能は世界で高い評価を受けていました。18歳で出場したU-20世界選手権で優勝に貢献し、14年には主将として準優勝。その年に南アフリカ代表に選ばれ、21歳で15年ワールドカップ(W杯)メンバーにも入りました。その後はけがに苦しみましたが、W杯を前に完全復活。天才が心身ともに充実の時を迎えています。

日本としては、とにかく反則がかぎになります。プレースキックは50メートル程度は余裕で蹴ってきますしエリアを取るキックも距離が出て、かつ正確です。1つの反則で自陣ゴールライン付近からのラインアウト、そこから南アの強力FWを生かしたモールでトライ。この展開でどのチームも得点を許してしまうのです。ポラードにいかにボールを持たせないか。それが試合のポイントになりそうです。