初の決勝進出を目指したウェールズが、またも緑の壁に屈した。

16-16の後半36分、南アフリカSOポラードの決勝PGを許し、試合終了の笛でがっくりと肩を落とした。前回W杯の準々決勝では、同じ相手に19-23で敗戦。雪辱を目指したが、激闘を制することはできなかった。ロックのA・ジョーンズ主将は「私の顔で分かっていただけると思う。非常に悔しく、がっかりしている」と落ち込んだ様子で言葉を紡いだ。

それでも執念は観衆6万7750人の心をつかんだ。9-16の後半19分。敵陣10メートルライン付近で得たペナルティーで、PGではなくタッチキックを選んだ。FW戦に持ち込み、ゴール前で再度ペナルティーを獲得。ここでも3点ではなく、劣勢とみられたスクラムを選んだ。場内はウェールズコール。スクラムから左へ展開し、WTBアダムズがインゴールに飛び込んだ。ゴールも決まって同点とし、最終盤に望みをつないだ。

07年W杯後に就任したニュージーランド人のガットランド監督と12年間共に歩み、大会前には体力強化合宿で連戦を戦い抜く土台を築いた。指揮官は南アとの肉弾戦に向けて「脅威に対処しなければならない」とキッパリ。A・ジョーンズも「身体的には、準備はできている」と自信を抱き、誇りを持って臨んだ大一番だった。

敗れはしたが、11月1日にはニュージーランド(NZ)との3位決定戦(東京・味の素スタジアム)が控える。指揮官は「今日については悔しい。決勝には進めなかったが、これまでハードワークをしてきたから、NZ戦も楽しみたい」。試合後、悔しさをこらえながら円陣を組み、次戦に向けて再スタートを切った。