乗車したタクシーから運転手の1万円入りバッグを盗んだとして、ラグビートップリーグの東芝所属で元高校日本代表のイオンギ・ヴィヴィリ・ヘロトウ・ケイ容疑者(24)が窃盗の疑いで逮捕されていたことが、5日分かった。イオンギ容疑者は4日未明、東京・渋谷でタクシーに乗り数メートル進んだだけで降りてしまったという。4日、チームは福岡県で公式戦だったがイオンギ容疑者は遠征メンバーには入っていなかった。

 4日午前4時すぎ、渋谷・道玄坂2丁目で流しのタクシーに外国人の男3人が乗り込んだ。乗車後すぐに車を止めるように騒ぎ出して数メートルで降りてしまった。運転手の男性(60)は、男らが降りたあとで助手席においてあったセカンドバッグがないことに気づき、慌てて110番通報し「外国人にとられたぁー」と絶叫したという。

 現場に署員が駆けつけ、事件発生現場からすぐ近くの終夜営業の飲食店にいた巨漢の男のそばに盗まれたと思われるバッグを見つけた。問いただすと、男は素直に犯行を認めた。逮捕されたイオンギ容疑者は、ラグビートップリーグで現在2位の強豪東芝の選手だった。

 イオンギ容疑者は、トンガ生まれで、01年に来日。強豪高校の正智深谷(埼玉)にラグビー留学した。高3時に花園4強になり、その年の高校日本代表にも選ばれた。埼玉工大を経て昨年東芝と選手契約したばかりだった。186センチ、125キロでチームではロック。今季公式戦では2試合で途中出場している。

 事件当日、チームはコカ・コーラウエストとの試合で福岡遠征していた。イオンギ容疑者はメンバー入りできず、府中市の自宅にいるはずだった。

 被害にあった運転手によると、イオンギ容疑者が助手席に腰を降ろし、日本人並みに日本語をしゃべれるはずなのに、たどたどしく「止めて、止めて」と連呼したという。イオンギ容疑者は取り調べに対して容疑を認めているという。

 イオンギ容疑者は、埼玉工大2年時の05年5月にも深夜の六本木で、酒に酔ったあげくに、擦れ違いざまに女子プロレスラー(当時31)の体をさわって、殴り倒し、傷害容疑で逮捕されていた。

 東芝広報室では「まだ、事件の事実が把握できていませんが、もし本当に犯行にかかわっていたのであれば本当に申し訳なく思います」と話した。