日本と同組のサモア(世界ランク11位)が、今大会初黒星を喫した。アルゼンチン(同10位)に10-19で競り負けた。日本アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」をまねて、長い金髪をなびかせるSHジョナサン・タウマテイネ(26=モアナ・パシフィカ)が両チーム最多14本のタックル成功と奮闘した。
日本(同14位)は28日(日本時間29日)のサモア戦に向け、23日から開催地トゥールーズで練習を再開。サモアの攻守の要は厄介な存在になりそうだ。
◇ ◇ ◇
“サモアのナルト”はフル回転していた。
雨中の戦いは全体の59%が自陣、防御が62%と攻め込まれる展開が続いた。それでも味方FWをかいくぐった相手に、さく裂したのがタウマテイネのタックル。後半35分には途中出場のマロロのトライ、ゴールで6点差に迫った。
最後は7点差以内の敗戦による勝ち点1を逃したが、かつてクボタ(現クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)などに在籍したマプスア監督は「いくつか好機を作れた。そのうち2~3回を決めきれば、全く違う試合になる」と評した。
日本にとっては厄介な存在だ。
W杯公式サイトによると、タウマテイネはSHとして大柄な185センチ。ニュージーランドで生まれ、同国のチーフスやハリケーンズで世界最高峰スーパーラグビーを経験した。前哨戦だった7月22日の日本戦ではFB山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)のキックをチャージしてトライ。仲間を勢いに乗せて、24-22の勝利に導いた。
4年前の日本大会では優勝した南アフリカ代表SHデクラークの長髪が注目を集めた。
一方、タウマテイネはトライを決めた初戦のチリ戦後に「ナルト疾風伝で彼(主人公)が金髪なので、私も染めた。アニメが大好き。これはお気に入り」とほほえんだ。日本文化を愛する男が攻守を支える。
D組は全チームが2戦を終え、連勝のイングランドを1勝1敗のサモア、日本、アルゼンチンが追う。
フランカーのタウファは「日本戦は決勝戦」と気を引き締め、BKレウイラは「世界はまだ、ベストなサモアを見ていない」と言い切った。各組上位2チームの8強へ、厳しい戦いが待つ。
○…アルゼンチンは苦しみながらも今大会初勝利を挙げた。開始早々に相手のシンビン(10分間の一時退場)で数的有利となり、9分にWTBボフェリが先制トライ。前半を13-3で折り返したが、攻めあぐねた。終盤は6点差に迫られながらも、40分に4大会連続出場のSOサンチェスがPG成功で勝負を決めた。今後はチリ、日本戦を控える。チェイカ監督は「我々が望むレベルではなかった」としつつ「攻撃の組織性は格段に良くなった」と評した。
◆D組順位
〈1〉イングランド 勝ち点9(2勝、得失点差+39)
〈2〉サモア 勝ち点5(1勝1敗、得失点差+24)
〈3〉日本 勝ち点5(1勝1敗、得失点差+8)
〈4〉アルゼンチン 勝ち点4(1勝1敗、得失点差-8)
〈5〉チリ 勝ち点0(2敗、得失点差-63)