光老化啓発特集の2回目は五輪の女子マラソンで2大会連続でメダルを獲得した有森裕子さん(52)の登場だ。現役時代はほとんど日焼け対策をしなかったという有森さんが、皮膚科医であり光老化啓発プロジェクト委員会の理事でもある川島眞氏(67)と対談。ランニング時のサングラスの効果や日焼けに関するエピソードなども飛び出すとともに、有森さん自身が日焼け対策の重要性を実感する貴重な時間となったようだ。

握手をする有森裕子さん(左)と川島眞医師
握手をする有森裕子さん(左)と川島眞医師

川島東京五輪のマラソン日本代表を決めるMGC(マラソン・グランドチャンピオンシップ)が行われて非常に盛り上がりました。いよいよ本番が来年に迫りましたが、真夏の大会なので私は選手だけでなく観戦する人たちの日焼けに対しても非常に懸念しています。太陽光線に含まれる有害な光(主に紫外線)は皮膚がんを起こすこともあります。皮膚がんになる手前には肌にしわやたるみ、シミができたり、イボなどができることもあります。太陽光線を無防備に浴び続けることで起こる皮膚の加齢変化を「光老化」というのですが、有森さんはこの言葉をご存知でしたか?

有森以前サングラスに関する対談をした際に「目も日焼けする」と聞きました。その時に目や肌は光によって老化していくことを認識しました。対談が終わった後に紫外線の計測器をいただいてしばらくの間、外出時に紫外線の量を測っていました。直射日光のない曇りの日でもかなりの紫外線量が降り注いでいたのに驚きました。夏でなくても紫外線量が多い日もあり、サングラスをかけることを習慣づけた方がいいと認識しました。

川島先日のMGCもそうですが、最近はほとんどのマラソン選手がサングラスをかけて走っていますが、集中するためですか?

バルセロナ五輪で銀メダルを獲得した有森さん
バルセロナ五輪で銀メダルを獲得した有森さん

有森それもありますが、実はもう一つ大切な要素で、まぶしさを避けるためと目からの疲れを軽減するためです。日本のマラソンチームが五輪で最初にサングラスをかけたのは私も出場したバルセロナ五輪(1992年)からです。マラソンのスタート時刻が夕方で、スタート直後は西に向かって走るコースだったので正面から西日を受けることになります。そのため、まぶしさを避けるためにサングラスをかけました。サングラスの製作会社が軽量化とグラスの色にこだわって作った特製品で、目からの疲れを軽減する効果もありました。また、まぶしいと眉間にしわが寄り無駄な力が入って疲れてしまいます。それを避ける効果もありました。

川島サングラスには記録向上の効果があるんですね。女子マラソンの選手は日焼け止め(サンスクリーン剤)を塗っていますか?

有森塗る選手と塗らない選手がいますが、私は塗っていませんでした。

川島なぜ塗らなかったんですか?

有森日焼け止めを塗ることで毛穴をふさいでしまうと感じていたからです。塗ったものが汗で垂れて目に入るのもイヤで、サングラスをして帽子を被ることで必要な対策ができていると考えていました。日焼け止めに限らず、身体に何かを「塗る」という行為が好きではなく、引退してからもしばらくは化粧すらしていませんでした。

川島1

川島サンスクリーン剤が毛穴をふさぐことはないですけどね(苦笑)。

有森毛穴をふさがないことは分かっているのですが、感覚的に肌に何かを塗るのが好きじゃないので、ハンドクリームもかなり肌が乾燥しないと塗らないです。

川島今もサンスクリーン剤は使わないですか?

有森引退してからはイベントなどの屋外での仕事もあるので10年ぐらい前から使っています。今日も持ってますよ。でも日焼け止めというよりも、日焼け予防効果のある成分が含まれるクリームを使っています。

マラソン大会の給水エリアにサンスクリーン剤!?

川島マラソンの大会の給水エリアにサンスクリーン剤を置いたら使う人はいますか?

有森エリートランナーはレース途中で塗っている暇がないので使う人はいないと思いますが、市民マラソンだったら使う人はいるんじゃないですか。

有森3

大塚(有森さんのマネージャーで元選手)海外のレースだと日焼け止めが参加証に入っていたり、EXPO(参加ランナー受付会場)で配っているレースもありますよ。南アフリカのウルトラマラソンでは使い捨ての日焼け止めをホテルで配っていたので持ち運びも便利で選手も使っていました。

有森日本の大会では聞いた事がないですが、市民ランナー向けに給水所にサンスクリーン剤を置くのは有りですね。参加賞でサンスクリーン剤があってもいいですね。マラソンの大会や練習する時に日光を避けるために顔を覆ったり、長袖を着たり、アームカバーをする人がいますが、熱がこもって熱中症の危険があるので、必要以上に衣服を身につけるのは止めてサンスクリーン剤で対応して欲しいですね。肌を隠していいこともあるかもしれませんが、明らかに着込みすぎの人がいますからね。海外マラソンではそんな格好で走っている人はいません。目に見えるくらい厚くサンスクリーン剤を塗っている人はいますけどね。寒さ対策で着るのはいいとは思いますが、日光の対策はサンスクリーン剤で対応すべきですね。

川島来年の東京五輪の時には屋外競技の会場のいたる所にサンスクリーン剤が設置してあって、選手も観客もみんなが光老化を防ぐような意識が必要だと思っています。

プロフィル
有森裕子(ありもり・ゆうこ)
◆有森裕子(ありもり・ゆうこ)1966年(昭41)12月17日、岡山県岡山市生まれ。日体大を経て89年リクルート入り。90年大阪国際で初マラソン日本最高(当時)、91年同大会で2時間28分1秒の日本最高(同)。五輪は92年銀、96年銅。99年のボストンで2時間26分39秒の自己ベストで3位。07年に引退。
川島眞(かわしま・まこと)
◆川島眞(かわしま・まこと)1952年(昭27)4月4日、宮崎県宮崎市生まれ。1978年東京大学医学部卒業。東京女子医科大学皮膚科主任教授を経て、現在は東京女子医科大学名誉教授、医療法人社団ウエルエイジング総院長。専門はアトピー性皮膚炎、ウイルス感染症、美容医療。日本美容皮膚科学会前理事長、日本香粧品学会前理事長、日本コスメティック協会理事長、NPO法人皮膚の健康研究機構副理事長。

光老化啓発特集 ニュース一覧

第1回
秋も油断できない光老化とは!?
第2回
マラソンシーズン到来!光老化対策で記録UP?
第3回
Coming soon