リオ五輪前に海で日焼け?

畠山愛理さんと川島眞氏

川島男性のスポーツ選手にはまだサンスクリーン剤は浸透していないですね(苦笑)。広島球場は屋外球場なので、本当は塗っていただきたいのですけど…。それでは本題の「光老化」の話に移りましょう。畠山さんは「光老化」という言葉をご存じですか?

畠山言葉自体は聞いた事はないですが、紫外線が肌によくないという認識はあります。

川島太陽光線の中で特に紫外線が肌を老化させるということが光老化です。具体的にはシミやシワを発生させたり、さらには皮膚ガンも発症させることがあるんです。これを理解して欲しいと思っています。畠山さんが取り組まれていた新体操は室内競技なので屋外で練習することはないですよね。室内では日焼け止め(サンスクリーン剤)は塗らないですよね。

畠山たまに屋外を走ることもありますが、主に室内練習ですので日焼け止めは塗らないですね。でも練習中から化粧はします。ロシアのコーチから「あなたたちは女優で、いつ誰が見ててもきれいでなければいけない」と常日頃言われていました。

川島女優ですか。姿勢も素晴らしくてモデルさんのようですよね。たまの外出の時には、日焼けしないように気をつけていたのですか。

畠山実は試合の前にチームのみんなで日焼けをしに行った事もありました。肌が黒いと身体が締まって見えるからです。リオ五輪の時も海に行って肌を焼いていました。ロシアのコーチは感受性が素晴らしくて「太陽からエネルギーをもらってきなさい」とか「海に入って不安や恐怖を海に流してきなさい」といったアドバイスをしてくれるのです。そのアドバイスをもらって海に行き、日焼けもしていました。恋愛に関しても日本のコーチは「(競技)に集中できないから恋愛はしてはいけない」という方針の方が多いですが、ロシアのコーチは「恋愛をした方が女性はきれいになる。男性を思う気持ちを演技で表現する際にも、一度も恋愛したことがなかったらその表現もできない。表現の幅を広げる上でも恋愛をしなさい」と言われました。

川島真逆ですね。(日本代表に入る前の)小学生や中学生の時には日に焼けないように意識をしていましたか。

畠山小学生の時には学校で決められた体操着を着るので、腕や太ももに日焼けの跡が残りレオタードを着る時に目立ってしまうのです。それを意識して運動会の練習などの時には日焼け止めを塗っていました。水着はレオタードと同じ形なので(日焼けを意識せず)水泳はやっていました。

日焼けはヤケド

畠山愛理さん⑥

川島引退されてスポーツキャスターになられましたが、屋外の取材をする時には日焼け止めを塗っていますか。

畠山はい。しっかり塗るようになりました。新体操をしていた時もサウナのような状態で練習をしていたので、取材時も気温の高さは気にならないです。でも日差しは違います。選手が練習をしている時に日陰で見ているわけにはいかないので、太陽を浴びながら練習を見ています。そうすると日差しを直接浴びるのがこんなにキツイことなんだということに気づかされます。身体へのダメージも相当なものがありますね。

川島今まで取材された中で1番日差しの強さを感じたのは何の取材の時ですか?

畠山パラ陸上の日本選手権を取材した時ですかね。その日だけ日焼け止めを塗るのを忘れてしまって…。そうしたらものすごく日焼けの跡が残ってしまいました。皮膚もヒリヒリしていて、その後の仕事にも影響がでました。

川島日焼けというのは基本的にはヤケドなんです。ヤケドの症状が激しく起こる人とそうでもない人がいます。畠山さんの肌を拝見すると、日焼けすると赤くなって、黒くなる前にさめてしまうタイプだと思います。キャスターになられて約4年が経ちますが、光を浴びて肌が老化していると感じることはありますか?

畠山まだ老化を感じることはありません。でも選手の時と比べると屋外にいる時間がものすごく長いので、日光は大量に浴びていると思います。現役時代は1週間に1回しか外に出ていませんでした。練習の場所と宿泊場所が廊下でつながっていて、1度も外に出ることなく1日が過ぎていました。1週間に1回だけ休みがあったので屋外に出ていましたが、自主的に外に出ないとその日も日光を浴びずに1日を過ごすことになります。なので選手時代の写真を見るとシミも無く、肌に対する悩みもなかったですね。でも引退してからはお肌の悩みは増えましたね。

川島先ほどから畠山さんの肌にシミがないか見ているのですが本当に無いですね。

畠山化粧で隠しているだけです(笑い)。選手時代に比べて肌の状態は全く違います。毛穴もそうですし、少しほおもたるんできている気がします。

過剰な日光浴は必要ない?

川島眞氏②

川島光老化の始まりかもしれませんね。畠山さんはサンスクリーン剤にSPF50+とかPA++++といった効果を示す表示があるのをご存じですか。

畠山書いてあるのは知っていましたが、その意味は知らないです。

川島「SPF」は肌がどれだけ赤くなるのかを防ぐことができるか、「PA」はどれだけ黒くなるのを防ぐことができるのかという効果を示す数値です。黒くなりやすい人はPAの+の数が多い製品を選ぶことでUVA(紫外線A波)の防御につながります。

畠山全然知りませんでした。これからは気をつけて表示を見て製品を選びたいと思います。ところで、紫外線は身体に良くないと思うのですが、ビタミンDを作るためにも日光は浴びた方がいいんですよね。

川島サンスクリーン剤を塗っても紫外線の透過はゼロにはならないです。また東京の夏の日光だと、顔と手の甲にサンスクリーン剤を塗らない状況で、10分も日に当たれば必要なビタミンDは皮膚で作られます。過剰な日光浴をする必要はありません。

畠山日光を浴びすぎると肌はどうなっていくのですか?

川島無防備に日光を浴びてしまうと皮膚はまず軽いヤケドになります。それが治まるとメラニンを作る細胞の活性が高まります。メラニンは黒褐色の色をしていて紫外線から皮膚の細胞を防御する目的で作られます。それが過剰になったり、うまく排出されなかったりするとシミができることになります。(年齢的に)早い人だと10代からソバカスという形で皮膚に現れます。20代後半にはシミとして現れます。次に来るのがシワですね。紫外線の蓄積によって肌にシワができてきます。その次がタルミですね。皮膚の深部まで入る近赤外線領域の光は、皮膚を支える筋肉に作用してタルミが発生すると考えられています。そして最後に来るのが皮膚がんです。

畠山怖いですね。日焼け止めクリームの塗り方についておうかがいしたいのですが、出かける前に日焼け止めを塗った後、出かけてからはどれくらいの頻度で日焼け止めを塗り直した方がいいのですか?女性の場合はお化粧をしているので顔に日焼け止めを塗るのは難しいのですが…。

川島私たち皮膚科医は(化粧をするという)女性の生活習慣を無視して「3時間ごとに(日焼け止めを)塗り直しなさい」とか「汗をかいたら塗り直しなさい」とか言っていますが現実的には難しいですね。それ以前に実は大半の方は本来塗るべき量の半分くらいしか日焼け止めを塗っていないという調査結果があります。なので意識してたくさん塗っていただきたいです。本当は1平方センチ当たり2ミリグラムのサンスクリーン剤を塗っていただきたいのですが、1番塗りやすいジェルタイプでも1ミリグラム程度、スプレー式だと0.3ミリグラムくらいしか塗られていません。スプレータイプの日焼け止めだけ使用していてもほとんど意味がありません。

畠山ほとんど女性は(化粧をしているので)2回目の日焼け止めはスプレーですよ。

川島女性の場合は、まず朝出かける前に厚めに2度塗りしていただき、出かけてからはスプレーを補充の意味で頻繁に使用していただきたいですね。それにしても、贅沢に使うには日焼け止め(サンスクリーン剤)は高価すぎますね。私の希望は全ての小学校にタンクタイプの日焼け止めを置いて、外で運動をする際には必ず日焼け止めを塗る習慣を子供のころから身に着けて欲しいです。

畠山いいアイデアですね。実現するといいですね。

川島ところで美を保つために食事の面で気を配っていることは何ですか。

畠山食事に関してはバランス良く食べることです。新体操選手は炭水化物や脂質をあまり摂らないイメージがありますがそんなことはないです。練習時間が1日8時間だったのでかなりの量を食べないと練習ができません。もし太ってしまった時は、(動くためのエネルギーである)炭水化物を減らすと練習中エネルギー切れになりかねないので、タンパク質の内容で調整するようにしていました。
豚の角煮が食べたかったとしても脂質が多いので、鶏のササミや胸肉、あるいは動物性のタンパク質ではなく納豆や豆腐といった植物性のタンパク質に変えることをして体重管理をしていました。それは今でも変わらないです。ロシアで合宿をしていた時は食事に使われるマヨネーズやチーズの量が多く、朝ご飯に出るパンケーキも脂に浸っていることもありました。私たちの競技には合わない食事だったので、パンケーキの脂を紙で取ってから食べる苦労もありました。

川島バランス良い食事はお肌にとっても大切ですね。

これからのスポーツ観戦時の注意点は?

畠山秋になってスポーツ観戦をする機会が増えますが、(コロナ禍で)マスクもする必要があります。その際の日焼け止めの塗り方のコツはありますか。

畠山愛理さん⑦

川島マスクは顔全体を覆っているわけではないので、肌が露出しているところには日焼け止めが必要です。ただ出ているところだけ塗るというのはかえって難しいので、顔全体や首筋には日焼け止めを塗っていただきたいですね。日焼け止めで忘れがちなのが耳です。

畠山意識して耳に日焼け止めを塗ったことはないですね。

川島耳の皮膚ガンは結構多いです。実は耳はかなり紫外線が当たっています。耳たぶを含めて耳全体に日焼け止めを塗るようにしていただきたいですね。

畠山全然、意識していなかったです。これからは耳にもしっかり塗りたいと思います。そして日々、肌の変化を見て日焼けに気をつけたいと思います。今日はありがとうございました。

プロフィル
畠山愛理(はたけやま・あいり)
◆畠山愛理(はたけやま・あいり)1994年(平6)8月16日、東京都生まれ。6歳から新体操を始め、中3で新体操日本ナショナル選抜団体チーム入り。12年ロンドン五輪は団体7位。日女体大に進み、15年世界選手権では団体種目別リボンで40年ぶりの銅メダル。16年リオデジャネイロ五輪は団体8位で、大会後に現役引退。現在は新体操の指導や、NHK「サンデースポーツ2020」のリポーターなどメディア出演もこなす。19年8月に入籍。
川島眞(かわしま・まこと)
◆川島眞(かわしま・まこと)1952年(昭27)4月4日宮崎県宮崎市生まれ。1978年東京大学医学部卒業。東京女子医科大学皮膚科主任教授を経て、18年 東京女子医科大学名誉教授に就任。専門はアトピー性皮膚炎、ウイルス感染症、美容医療。日本香粧品学会前理事長、日本美容皮膚科学会前理事長、日本近赤外線研究会理事長、日本コスメティック協会理事長、NPO法人皮膚の健康研究機構副理事長。