大相撲の大関魁皇(38=友綱)が20日、名古屋市内のホテルで現役引退の記者会見に臨み「悔いも後悔もない。最高の相撲人生だった」と、安堵(あんど)の笑みを浮かべながら語った。

 魁皇は同日、日本相撲協会に引退届を提出して受理され、年寄「浅香山」の襲名が承認された。

 腰痛などを抱えていた魁皇は、名古屋場所5日目に通算勝利の新記録を樹立し、7日目に1047勝に伸ばしたが、その後は振るわず、10日目に7敗目を喫して引退を決めた。「(通算勝利数)記録に目標を置いてしまった。やっと達成してホッとしてしまい、負けても悔しさがなくなった。ここが最後の引き際だと思った」と決断の経緯を説明した。

 思い出の一番には2000年初場所千秋楽で、ライバルの武双山(現藤島親方)に敗れた一番を挙げ「そのときの悔しさがあったから、大関に上がれた」と振り返った。

 会見に同席した師匠の友綱親方(元関脇魁輝)は「けがをした状態でも(稽古場で)動けと言ったり、かなりむちゃを言ってきたと思う。本当にここまでよく頑張ってくれた」と、いたわった。

 断髪式の日程は未定で、今後は友綱部屋付きの親方として後進を指導する。魁皇は「自分よりも強くて格好いい関取を育てたい。また、相撲界は厳しさがあるからこそ、いい世界なので、厳しさを伝えていきたい」と、第2の人生に思いをはせた。