日本相撲協会は24日、福岡市内で大相撲初場所(来年1月9日、東京・両国国技館)の番付編成会議を開き、昨年のアマ横綱で西幕下2枚目の加藤改め高見盛(たかみさかり、23=東関)の新十両昇進を決定した。

 東関親方(55=元関脇高見山)にとっては初の日本生まれの関取の誕生となった。西幕下筆頭の安美錦(あみにしき、21=安治川)と東幕下筆頭の若光翔(わかこうしょう、24=松ケ根)の新十両昇進も決まった。

 ジェシーの満面の笑みが、その喜びの大きさを表していた。昨年のアマ横綱の高見盛の関取昇進。東関親方は「部屋創設14年の中でも格別の思いがある」と笑顔を連発した。これまでの関取2人は、横綱曙、大喜(元十両、廃業)と自分と同じハワイ出身だった。「高見」が「盛ん」になってほしい。自ら考え抜いたしこ名にも、初の日本出身関取への大きな期待を込めた。

 高見盛は、部屋の出世頭、横綱曙に徹底して鍛えられた。2メートル4センチの巨体に「殺すぞ」と怒鳴られながらけいこをつけられた。今場所中も毎日胸を出してもらった。「きつくて死を感じたこともあった。でもこの世界で食っていかないといけないから。横綱には本当に感謝しています」。部屋全体のバックアップで勝ち取った関取の座だった。ライバルの存在も励みになった。日大の同期でアマ27冠の琴光喜は、先場所に一足早く新十両に出世していた。「彼にはどんな状況でも勝ちたい」。学生時代はけいこでも勝てなかった相手。しかし、強いライバル心でプロ入り後は2勝1敗。先場所も豪快なすくい投げで倒し、十両昇進の弾みにした。

 明るくユーモアもある。この日もカメラマンの前で故郷青森特産のリンゴをかじった。「自宅がリンゴ農園だから。大好きですよ」と、あっという間に2個平らげて周囲を笑わせた。「初給料では携帯電話とドリームキャストを買いたいです」。天真らんまんで力強さも兼ね備える高見盛は、将来の部屋を背負う大物感に包まれていた。【田口潤】【1999年11月25日付・日刊スポーツ】