<第2回大相撲総選挙>

 日刊スポーツが行った人気力士アンケート「第2回大相撲総選挙」は、大関稀勢の里(26=鳴戸)が、2年連続2度目の1位「東の横綱」に輝いた。昨年の約2・5倍の総数2303票のうち、298票を獲得。名古屋場所(7月7日初日、愛知県体育館)での綱とりへ期待が表れた。2位は同じ鳴戸部屋から昨年20位の若の里(36)が急上昇。妙義龍(26)が3位に入った。前回2位の横綱白鵬(28)は5位だった。

 圧倒的な人気だった。そこに敵はいなかった。横綱白鵬ら実力者をはねのけ、新進気鋭の若手も退けて、2年連続で選ばれた東の横綱。日刊スポーツに寄せられたファンの声に、稀勢の里は「うれしいですね」と照れ笑いした。

 昨年1位に輝いたとき、こう漏らした。「今まで期待に応えられたことは1度もないと思っています」。1年前からずっと2ケタ以上勝ち続けた。白鵬に続く、安定感。だが、優勝はできなかった。ファンはそれですら「歯がゆさがあるので応援しがいがある」(20代女性)「どんなに裏切られてもなぜか嫌いになれない」(30代女性)という。ただ、自分の心はごまかせなかった。13勝した夏場所が終わっても、その思いは変わらない。「まだまだ全然です。常に高い目標でやっていますから」。

 目標-。それは言わずとしれた06年初場所の栃東以来となる国産力士の優勝と、3代目若乃花以来の日本人横綱。「日本人横綱を見たい」(50代男性)と、綱とりへの期待も高まる。だが、思いを表す言葉は自然体だった。「意識していないというとウソになりますが、本当に一番、一番の積み重ね。いろんなことは後からついてくる。その上で、千秋楽が終わったときに、笑っていられたらいい」。

 ストイックなまでに相撲道を追い求め、勝負に挑む表情は誰より険しい。だが、土俵の外では一変する。その姿に「取組中は厳しい表情ですが、たまに見せる笑顔にきゅんとします」(10代女性)。「だまされていますね。分かってないなぁ」との言葉は、照れを隠す26歳の一面だった。

 60代に加えて10、20代の票数もトップだった今回。「若い人たちが少しでも見てくれていると思うとうれしい。相撲離れといわれる中で、日本人の心に火をつけたいという思いがありますから」。燃えさかる熱狂を、国内に-。そうなることを、誰もが稀勢の里に求めている。【今村健人】

 ◆投票方法

 投票の対象は、夏場所番付の幕内力士。5月26日から6月6日まで、はがきと日刊スポーツのウェブサイトで投票を受け付けた。ウェブサイトでは端末1つにつき、1日1票まで投票可能とした。はがきから91票、ウェブから2212票が集まった。今回は人気順に番付を作製し、前頭10枚目までを発表。