大相撲の元関脇で、3日付で三保ケ関部屋から春日野部屋に移籍したばかりのロシア出身の東前頭7枚目、阿覧(29)が8日、日本相撲協会に引退届を提出した。東京・両国国技館内で会見し「体調不良になって、体もやせて、引退することになりました。やせたら力も出ない。自分の相撲も取れない」と明かした。

 会見には、11月で定年を迎えるに伴って秋場所限りで部屋を閉鎖した前師匠の三保ケ関親方(元大関増位山)と、現師匠の春日野親方(元関脇栃乃和歌)も同席。三保ケ関親方は「体の状態について、前から相談を受けていた。見ていて分かるくらいやせてきている。私としては新しい師匠の下で頑張ってやってくれるのが一番だったが、春日野親方とも相談してこうなった」と説明した。

 断髪式などは未定。既に家族は故郷ロシアに戻っており、今後は「国(ロシア)でいろいろ考えている。相撲の近くにはいる。頑張ります」と話した。

 阿覧はアマチュア時代に世界選手権無差別級を制し、07年初場所で初土俵を踏んだ。08年九州場所で新入幕後は敢闘賞を2度受賞し、10年秋場所には関脇まで上り詰めた。だが、3勝12敗に終わった秋場所千秋楽後に「フィニッシュ。もう相撲は終わり。ダメ」などと弱気な発言を繰り返していた。