【ウランバートル25日=来田岳彦】モンゴル巡業(27、28日、ウランバートル市)がいきなりトラブルに見舞われた。この日、力士が2便に分かれてモンゴル入りする予定だったが、横綱白鵬(22=宮城野)関脇安馬(24)ら韓国経由の後発隊が、天候不良の影響で仁川で足止めを食った。航空ダイヤの乱れから、今後の見通しも不明。白鵬らは26日の大統領表敬訪問など、故郷に錦を飾るはずの公式行事に、参加できない可能性も出てきた。一方、先発隊の横綱朝青龍(27)は無事に到着し、地元の歓迎ぶりに上機嫌だった。

 悪夢のような旅路になった。経由地の韓国・仁川国際空港に到着した白鵬らは、時間調整のため近くのホテルにチェックイン。ホテルに着いた途端、ウランバートル行きの飛行機が目的地の天候不良のため大幅に遅れると聞かされた。

 その後まもなく、欠航が決定。それを聞いた白鵬はあぜんとしていたという。到着後すぐ、親族と会う予定にしていたモンゴル出身の安馬や朝赤龍などは、予想外の事態に表情を曇らせた。夕食券と翌日の朝食券が配られたが、それで力士たちの怒りが収まるはずもなかった。

 事故などを想定し、巡業で力士は2班以上に分かれて移動するのが慣例。今回は航空会社等の事情で、朝青龍らA班はモンゴル航空のチャーター便で直行、白鵬らB班は大韓航空の定期便を使い、韓国経由でモンゴル入りする予定だった。午前8時20分ごろに成田をたったA班は日本時間午後1時半にはウランバートルに到着。明暗がくっきり分かれてしまった。

 26日からはエンフバヤル大統領の表敬訪問、大統領主催の歓迎晩さん会など公式行事が始まる。現地テレビ局の取材も入り、モンゴル出身力士にとっては故郷に錦を飾る絶好の機会。だが、26日の天候や運航状況次第では、その場に間に合わない可能性も出てきた。

 もともと直行のA班は約5時間のフライトだったのに対し、B班は仁川での乗り継ぎが悪く、行きが約10時間、帰りが約11時間と倍以上の時間がかかる貧乏くじ。さらに到着後、ゆっくりする暇もなく27、28日のトーナメント戦に臨むという、想像を絶する過酷な旅路になってしまった。