横綱朝青龍(27=高砂)と再発防止検討委員会の外部委員で漫画家のやくみつる氏(49)のバトルが再燃した。朝青龍は1日、モンゴル巡業から来日後、すぐにUターン帰国していた母国から再来日。Uターン帰国について釈明する一方、2日発売の写真集に掲載された、まげを結っていない写真を批判したやく氏をからかうようなコメントを出した。やく氏は「冗談で済む状況ではない」と反省のない横綱に再び激怒した。

 日本での批判は朝青龍の心には届いていなかった。着物は着ていたが、髪は後ろで束ねて丸めただけ。報道陣に囲まれ、行動が問題視されていることを聞かされても、笑顔すら見せた。Uターン帰国には「(大統領らにあいさつせず)そのまま帰っちゃいけないと思った」と正当化。写真集のポニーテール風の髪形にも「床山さんがいないから」と平然と答えた。

 ただ、「やくさんが怒っていますが」という声には、「また、怒ってんの?」とギロリと目を光らせた。それでも「やくさんが(床山役を)やってくれればいいけどね」と冗談で返し、再発防止検討委員の声を軽くあしらった。

 この対応に、やく氏の怒りが再噴火した。「今はしゃれの利く状態じゃない。いわば非常事態宣言」。相撲界では、昨夏の朝青龍騒動に始まり、時津風部屋新弟子死亡事件、若ノ鵬の大麻事件と不祥事が続く。周囲の目が厳しくなる中、トップの横綱が身をたださなければならない状況での、この行動は許せない。

 3月の春場所後、2人は大阪のホテルでばったり会い、会食の約束をした。その際、やく氏は「(批判も)聞く耳はあると分かった」と期待したが、見事に裏切られた。やく氏は「本の中でも『横綱は花で多くを語らない』と書いていたが、聞く耳を持っていないという点で花ですね」と皮肉でお返しした。

 一方、Uターン帰国問題も、本来、モンゴル要人へのあいさつは協会の代表の大島巡業部長(元大関旭国)が行うべきで、一力士が出しゃばることではない。モンゴル巡業中の「活躍」ぶりも、国内での身勝手な行動に手を焼く巡業部関係者は、苦々しく見ていた。やく氏も「協会にも私と同じことを考えている人がいる。横綱に敬意を表して言わないだけだと、分かっていただきたい」と話した。

 モンゴル巡業成功の余韻に浸る朝青龍には、休場明けの大事な秋場所に向かう緊張感は、みじんも感じられなかった。このまま身勝手な行動を続ければ、再び批判の嵐にさらされかねない。