大麻吸引問題で日本相撲協会を解雇された元小結露鵬(28)、元幕内白露山(26)が12日、都内で記者会見し、あらためて無実を訴えた。処分後、マゲを整えて初めて口を開き、協会側による精密検査を「信用しない」とした上で、名誉回復を訴えた。代理人の塩谷安男弁護士(58)は、解雇処分の撤回を求めるための提訴の可能性を示したが、同兄弟は土俵復帰への思いを強く示すことはなかった。関係者によると、水面下では格闘技転向の動きが始まっているという。

 整ったマゲ、着物、雪駄(せった)。元露鵬、元白露山兄弟は、力士の姿のまま潔白を訴えた。自宅近くにある首都高速下の公園。騒音の中、集まった約100人の報道陣を前に露鵬が「(処分を)認めない。大麻は1度も吸っていない。検査も信用していない。私たちを信じて、応援してください」と切り出した。白露山も「最後まで闘います」と声を上げ、兄と塩谷弁護士を代理人にして同協会と争う姿勢を示した。

 解雇処分から4日たったこの日、2人は会見前に親しい床山を呼んでマゲを結い直していた。「検査を信用していないから、マゲを整えるのは当たり前です」。逮捕され、大麻吸引を認め、起訴猶予となった元若ノ鵬については「話をする気になれない」と立場の違いを強調した。あくまで吸引自体を否定し、検査の不当性を訴えた。

 塩谷弁護士も変わらず検査の問題点をついた。「検査までの手続きに問題がある。2日の(抜き打ち簡易検査で)69人の力士が受けたというが、1人は受けていない問題もある」。8日の理事会では、2人が2日の同検査で6月のロサンゼルス巡業中に吸引した事実を認めていたことが発表されているが、兄弟は「(吸引を認めることは)何も言っていない」と主張した。

 塩谷弁護士によると、13日にも協会側に質問状を提出し、早期の回答を求めるという。その上で「納得いかなければ、解雇処分の撤回を求めたい。提訴するか否かは来週中に決めたい」と話した。提訴となれば、長期の闘いとなるが、同弁護士は「大事なことは名誉回復。このままでは興行ビザは切れるが、ロシアに帰国するのか、他の職業に就くのか、仮処分で対応するのか考えたい」と話した。

 同兄弟も「土俵に戻りたい」とは強く主張しなかった。また、近い関係者は「2人は現実を見て、格闘家への転向も考え始めている。既にいくつか話は来ているようです」と話している。格闘界でも大麻使用者を解雇したケースもあり、舞台を土俵からリングに転じるにも名誉回復の必要がある。水面下では新たな攻防が始まっているようだ。