<大相撲初場所>◇千秋楽◇25日◇東京・両国国技館

 場所前に朝青龍の復活に懐疑的だった角界関係者も、復活優勝に評価を一転させた。横綱審議委員会のけいこ総見でのふがいない相撲を見て「初場所は出ちゃ駄目」と話していたNHK解説者の北の富士勝昭氏(元横綱)は「参ったよ。本当に。(朝青龍は)気持ちで負けていなかった。底力があるんだよ。自分の力で勝ったんだからね。みんなで最敬礼だよ」と敬意を表した。

 朝青龍に引退問題を取材して「顔じゃない」と言われた元小結で解説者の舞の海秀平氏は、場所前に「反射神経が悪くなった」と指摘していたが、この日は「場所前のけいこ量は白鵬の方が多かったのに、けいこ量は(勝負と)関係ないんですかねえ」と困惑気味。放駒審判部長(元大関魁傑)は「いつが全盛期か分からない。今だって全盛期かもしれない」。

 一方、以前から朝青龍の言動を厳しく批判してきた日本相撲協会再発防止委員会委員で漫画家のやくみつる氏も、この日ばかりは脱帽。「(朝青龍への)いろいろな感情は抜きに堪能した。千秋楽は落ち着いていた。静かな土俵美を見ることができた。これを続けてほしいですね」。もっとも「土俵上でのガッツポーズだけはいただけない。感情をコントロールしないと。今日は脱帽だけど、これからも問題点は厳しく言っていく」とくぎを刺すことも忘れなかった。

 優勝決定戦を理事長室のテレビで見届けた武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「すごいとしか言えないな。特に(場所の)後半は朝青龍らしい相撲になってきた」と手放しで絶賛。嘉風戦で顔を張られて相手をにらみつけるなど品格を問われる行動もあったが、「もういいんじゃないの」と問題にするつもりはないようだった。【山田大介】