「週刊現代」に八百長相撲記事を掲載されて名誉を傷つけられたとして、日本相撲協会と北の湖前理事長(55=元横綱)が発行元の講談社と執筆したノンフィクションライター武田頼政氏(50)を相手取り係争していた裁判で、原告側が全面勝訴した。東京地裁は5日、原告側の主張を認め、被告側に損害賠償1540万円の支払いと同誌上での取り消し広告の掲載などを命じる判決を下した。名誉棄損での1540万円という高額の支払い命令は日本裁判史上でも異例。被告側は控訴を検討している。

 判決理由で浜秀樹裁判長は「記事が八百長と指摘したのは、前理事長の『世紀の一番』といわれる著名な取組。読者にセンセーショナルな衝撃を与え、社会的評価を著しく損なった。誠に不十分な取材で記事に裏付けがない」とした。

 判決によると、週刊現代は07年3月10日号で「北の湖前理事長が現役横綱だった75年の春場所千秋楽で当時の大関貴ノ花に敗れた優勝決定戦は八百長だった」などとする記事を掲載。被告側の証人として元小結板井が法廷に立ち「八百長はあった」などと証言するなどで泥沼化していた。

 日本相撲協会は八百長疑惑報道に関してほかにも係争中だが、今回の判決はそれらにも優位に働きそうだ。だが今回の裁判は「記事に関する信ぴょう性の有無」が争点で「相撲に八百長が存在するか否か」については言及するものではない。