<大相撲初場所>◇12日目◇21日◇東京・両国国技館

 土俵の内外で絶好調!?

 横綱朝青龍(29=高砂)が、ついに優勝争いの単独トップに立った。西大関魁皇(37)を落ち着いて寄り切って1敗をキープ。横綱白鵬(24)が大関日馬富士(25)に不覚を取り2敗に後退する波乱があったため、25回目の賜杯を大きく引き寄せた。一方で22日発売の週刊誌「フライデー」に、今場所6日目終了後の16日早朝に東京・西麻布の路上で泥酔して大立ち回りを演じた記事が掲載された。日本相撲協会は不問に付す意向だが、またまた横綱の品格を問われる事態となった。

 目の前で白鵬が負けて座布団が舞う中、朝青龍は逆に集中力を高めていた。ベテラン魁皇を相手に、立ち合いから左を差して右前みつを引く盤石の体勢。理詰めの相撲で一方的に寄り切った。「逆に集中できた。横綱だから、踏ん張らなきゃと思った」。12日目で単独トップに立った過去15回は、すべての場所で優勝。昨年末から何度も口にしている「今年は4回優勝」という目標の第1弾を、きっちり射程圏内にとらえた。

 一方で、土俵外での大暴れぶりも健在だ。22日発売の週刊誌「フライデー」が6日目終了後の今月16日早朝4時すぎ、泥酔して都内の路上で大暴れした記事が掲載された。同記事によると「『オラァ!』『コラァ!』と怒声を上げながら、知人の1人を殴った。警察も間に入ってなだめたが、言うことを聞こうとしなかった」という。騒動について朝青龍は「いつものことだ」と笑い飛ばした。

 場所中にもかかわらず、泥酔して警察ざた。またまた横綱の品格を問われる事態だ。だが師匠の高砂親方(元大関朝潮)は「本人からその日のうちに連絡があり、すべて理事長に報告してある」。また、もめた相手がよく知った知人で、被害届なども出ていないことから「オレはそう(処分などないと)思う」と話すにとどまった。日本相撲協会の武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「あんまり騒がないでやってよ。集中してやっているから。勝った日か…。気をつけなきゃいけない」と大甘発言で、不問に付すつもりのようだ。

 この日、本場所を訪れた横綱審議委員会(横審)の石橋義夫委員は「そりゃ困るな…。横綱っていうのは何かと手本にならなきゃいけないのに残念だ。きちんとした品を持ってもらわないと」。さらに「内館(牧子)先生あたりにビシッと言ってもらわないとな」。今月いっぱいで横審委員の任期が切れる“天敵”の名を口に出し、場所後の1月25日に開かれる横審で問題にする意向を明かした。【山田大介】